花魚風月(5)
グルクンの群れ・・・何という魚かは素人にはなかなか区別がつきません。ハナタカサゴ、ウメイロ、ウメイロモドキ、ユメウメイロは体が平たいのでヒラグルクンと区別しているようです。塩焼き最高、唐揚げにたたきも美味な魚です。火を通すと鮮やかな赤になりますが、もともとは青やグレーの体色です。釣ってしばらくするとみるみるうちに赤くなります。
夜寝ている時の体色も赤くなっているそうです。指でつついてもおいそれとは起きようとはしないらしい。グルクンは昼間は群れで行動しています。その一糸乱れぬ隊列は見事と言うほかありません。誰がリーダーというのでもなく全く同じルートをたどって何百何千という数の群れが目の前を通り過ぎていく様は壮観です。グルクンを釣るには一般的にはサビキを使います。カゴに入れられた撒き餌で誘い、何本も付いた擬餌針で釣るという仕掛けです。
■ハナタカサゴ
■ウメイロ
ウメイロ・・・もともとは紀州、土佐などで呼ばれた名のようで、江戸時代に紀州の『水族誌』に「五月黄梅の熟するの節多く捕る故に名く」とあります。梅の熟する頃に捕れたから梅色なのでしょう。フエダイ科アオダイ属の魚です。体高はやや低く、紫がかった薄青の体色で、体側上半の後部から尾鰭は黄色くなっています。渋くて鮮やかな色合いなのですが、釣るとすぐにどす黒く変わってしまいます。ほんとうの輝く色は釣り人にしかわかりません。色合いは、タカサゴ科のウメイロモドキに似ていますが、ウメイロモドキは背鰭と臀鰭に鱗があり、ウメイロは背鰭と臀鰭に鱗がありません。ウメイロモドキは鮮やかすぎる・・・色です。
■ウメイロモドキ
■ユメウメイロ