ぎょ貝類(18)
年度末・・・地域の宴会がありました。お寿司が出ましたが・・・その中で結構「トリガイ」が好きです。見た目はちょっと・・・という人も多いようですが、その歯ごたえがたまりません。しかし、どんな貝なのか?知らない人が多いのではないでしょうか。
■「トリガイ」(Fulvia mutica) Japanese cockle二枚貝綱マルスダレガイ目ザルガイ科
トリガイは寿司種として見ることが多い。その三角形の姿からは想像しにくいが、アサリやハマグリなどと同じ二枚貝。食用とされるのは足の部分で、甘味があって美味。黒紫色をしているため、オハグロと呼ばれる。この足で海底の泥を掘って潜り、通常はくの字型に折って殻の中にしまい込んでいるが、外敵が近寄ってくると、足をバネにして飛び跳ねて逃れる。消化管に泥が入っていることが多く泥臭くなりがちなので、産地でむき身にされ、足の部分だけ出荷される。エネルギー源となるグリコーゲンを豊富に含むため、スタミナ不足や疲労回復に有効。タウリンも多く、コレステロールを減らし動脈硬化予防に働く。
「鳥貝」というのは貝殻から出ている足の形が、鳥の頭にそっくりだ。また、開いて寿司種にしたときも、鳥のくちばしに似ており、さらに食感が鶏肉っぽくもあるため、トリガイと呼ぶのだそうだ。市場では普通、殻をはずして足を開き、湯どおししたものをプラスチックの板に乗せて売る。これは買って帰るとそのままで寿司ネタとなるもので、丁寧な寿司屋ですら甘酢で洗う程度の手間しかかからない。この開いた三角が大きくて黒いものほど値がはる。また入荷量は少ないものの、この加工されたものより、殻付きで生きているものの方が格段にうまい。ところが殻付きはとり扱いが非常に難しい。身を剥くのはいとも簡単なのであるが、寿司ネタとしたときの値打ちを左右する身の黒い色合いが、少しでもこすると取れてしまうのだ。
そのために寿司職人などでは、黒い色素がとれないようにざらついたまな板を嫌い、ガラス板などの上で開き、湯がき方にも店ならではの秘伝があるという。千葉県船橋では小振りのトリガイを開かないで茹でて食べる。これを「とんぼ」という。トリガイの殻は軟らかいので剥くのは簡単。食べる部分は長く黒い足である。この足はよく動き、市場では、ときにこれをゼンマイのようにくるくると回っているのを見かける。