ぎょ(372) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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うるうぉい(3)


人類1


四十六億年から三十八億年前の地球、この時代は、化学進化の時代といわれます。高温の状態で大気は酸素がない、いわゆる嫌気状態です。時々火山が噴火し、稲妻が発生して、高いエネルギーの存在を示します。ここではまず、二酸化炭素や窒素や水などの無機物から、アミノ酸などの低分子有機物ができました。やがてそれらが結合して反応し、分子量の大きい、タンパク質や核酸などの高分子有機物ができます。ヌクレオチドという低分子有機物が連続して結合し、高分子の核酸ができます。一方、ポリペプチドも連続して結合し、複雑なタンパク質が生まれます。


人類2


今から三十五億年前。地球上にはいまだ酸素がありませんが、核酸とタンパク質という生命に必要な二大要素がそろい、有機物が多量に存在することになりました。このような変化に伴って、原始生命が誕生するようになります。酸素の無い状態でも有機物を分解してエネルギーを獲得する生物の誕生です。発酵と呼ばれる嫌気(けんき)呼吸を行う始原生物です。この灼熱の時代に、生命は初めて進化の分岐点を迎えます。バクテリアの祖先と始原菌の祖先に分かれて進化していくのです。では、発酵とはどのような代謝方法なのでしょうか。ビールはアルコール発酵でできます。麦芽、水、ホップなどに酵母を加えて発酵させ、アルコールと二酸化炭素を出すことで生成されるのです。これが酸素のないところで二酸化炭素を放出する、発酵と呼ばれる嫌気呼吸です。酸素が無いところで嫌気呼吸が続きますと、新たな変化が起こってきます。地球上に大量に存在した有機物が分解されて減少し、二酸化炭素の濃度が上昇するのです。さて次の進化は、大量に増えた二酸化炭素を有効利用できる生物の誕生です。


人類3


二酸化炭素が増えてきますと、二酸化炭素、水、そして多量に存在する硫化水素を還元剤として利用して代謝する能力をもつ生物が生まれます。それが徐々に優勢種となって地球上に増殖していきました。この頃の生物は、光エネルギーを積極的に利用しますが、酸素は放出していません。つまり、酸素を放出しない光合成能力をもった生物なのです。この代謝をする生物は、今でも存在する光合成細菌に受け継がれています。硫化水素を還元剤として利用する生物が増えますと、多量にあった硫化水素が不足します。すると、どのようなことが起こるのでしょうか。そのときに還元剤としての役割を担ったのが水です。水と二酸化炭素から光合成によって酸素を放出する生物が、こうして誕生します。この生物によって、地球環境を劇的に変える「酸素の放出」が開始されます。


人類4


酸素濃度が上昇していきますと、酸素のもつ酸化力を使って代謝する生物が生まれました。発酵型嫌気呼吸ではなく、酸化力で有機物を分解し、二酸化炭素と水を放出する、好気呼吸の始まりです。真核細胞の核となるのは、原核生物であったと考えられています。ここに呼吸を獲得した好気性細菌が感染し、共生が始まると、エネルギー生産の場となる細胞小器官のミトコンドリアができます。動物細胞の起源となる細胞の誕生です。この真核細胞に光合成能力のあるらん藻が共生すると、内部に入った細胞が細胞小器官の葉緑体となって、植物の起源となる細胞が生まれました。


人類5