魚石(7)
■宇佐見英治『石の夢』「石切場にて」筑摩書房
私がこれらの石切場を見たあとで、或る友人に、どうしても石が魚に見えてしょうがない、というと、どうして石が魚かね、と怪訝な顔をした。私には論証はできないが、岩石の節理は、樹木の木理となって受けつがれ、魚類や哺乳動物の筋骨にも同じ理法があらわれるように思われる。すべての岩石が魚に見えるというわけではないが、私は或る種の岩石が土中で跳ねる無数の魚であることをいまでも信じている。
■岩井堂遺跡「鮭石」
秋田県最南端の雄勝町院内。遺跡は第一から第四洞穴まであり、その中でもっともよい状態で残ったのが第四洞穴です。正確にいうと魚形文刻石と呼び、矢島町・阿仁町・雄勝町秋ノ宮で発見されています。これらの石の魚はサケやマスだといわれています。これらの石に共通することは、縄文時代の遺跡や遺物と関係すること、川の付近に存在することです。八島の場合は子吉川が、阿仁の場合は米代川の上流根子川が、そして秋の宮の場合もまた雄物川の支流役内川が流れています。これらの川は当時十分サケやマスが登ることができる川でした。したがって魚の形を線で彫ったのは豊漁を祈るためと考えられます。
■オコゼ(虎魚)
オコゼは頭が大きく体の色が汚く、背鰭の棘には毒があり、刺されると激痛を感じる。石に似た姿に化けて近づく魚を食べる。「山の神」とよぶ地方もあるが、カサゴ目のオニオコゼ科の魚にも山の神の方言があるのでオコゼは虎魚と書き、西洋ではストーン・フィッシュ(石の魚)とよんでいる。珍味と言われる内臓(とくに胃袋)は、妊婦の母乳が出る薬ではあるが、それよりも男性の精力が旺盛になると聞いて毎日オコゼばかり食(食膳)につける山の神(女房)もいたという。
■後藤利富さん太白区大野田PHONE:022-308-8476
部屋の半分を占領している石の魚たち。その数およそ200個、すべて自然石に魚が描かれています。 この魚たちの産みの親、石のアーティスト後藤利富さん。釣りとイラストが好きで、5年前に創作を始めました。なるべく平らな石を捜し、下地となる色を付けます。それを乾燥させた後、下絵を描いて着色。この乾燥、着色の工程を繰り返すこと何と50回以上! 最後にイラストを描いてできあがりです。1個を仕上げるのに最低でも丸3日かかるとか。お値段は1個3000円ほど、欲しい方は一度お電話を。
■ニューヨークの、グランドセントラル駅にあるマーケット。そこのお魚売り場に魚が・・・。魚屋に魚があるのは当たり前ですが、床にも、魚が・・・おしゃれですね。ニューヨークと言えば、なんとなく洗練された感じがありますが、魚屋さんまでおしゃれです。