魚の文学散歩(うぉーきんぐ)再び④
■柴山晴美(しばやませいび)1906-1930
「愛誦」に詩、評論等を発表。ほかに「現代詩評」に評論を寄せる。「疎林」主宰する。東海詩人協会にに参加。詩集に『寂光』、野口米次郎の序のある『花と金鑛』のほか、『悲しき銀河』『処女地の雪』などがある。(「日本現代詩辞典」より)
【靑い魚】
硝子を透いて光る
靑く憂えた顔である。
瞬間、吐息のためにくもる玻璃のむらさき
外の面の粉雪が降つて消すよ
さはやかに水瀬たばしる鮎のやうに
ふしぎに冷たい光る顔である。
人生は常に暗いよ
人情は朝霜の結晶ととけるよ
ほんたうに懐疑に沈んで
萬象を呪うきほひの表情だ
哲學の裡に迷ふ金性の鮎は
今、さうさうと泳いでゆく濁り江を
水族館のそれのやうに淋しい
硝子を透いて光る靑い顔である。
■高木正人「方言にちなんだ
日本の魚」
著者自身の手によるカラー細密イラスト入り、形態・分布・方言と方言についての説明、料理、と魚についての説明を記した労作。昭和56年9月高木正人発行8000円。
■鈴木克美「魚は夢を見ているか」
魚に眠りはあるのか、あるとしたら夢を見るのだろうか?水中から出て陸上へ進出しつつある魚がいるってホント?人間が目から流す涙を魚はエラから流す?魚は体で味見をする?海に囲まれた日本人は世界一魚をたくさん食べ、魚とはたいへん身近な関係にあるにもかかわらず、魚について多くを知らない。もっともっと魚の世界に興味を抱いてもらいたいという願望を込めて読者に送る、厳選トピックス50話。
鈴木館長は、東海大学海洋研究所で水産学の研究・教育にかかわりながら、海洋科学博物館での教育活動に力を注いできました。水族館・博物館の世界ではオピニオンリーダー的存在で、1996年の「世界水族館会議」では「日本の水族館の過去・現在・未来」と題した講演をし、多くの支持を得ました。一方、旺盛な好奇心で、山登り、郷土玩具の収集など専門以外にも多彩な趣味をもち、子どもにもわかりやすい言葉で執筆・講演し、生物学の普及に貢献しています。 一般書には『潮だまりの生物学』、『魚は夢を見ているか』、『鯛』などがあり、特に『水族館への招待』は、水族館史の教科書ともいわれています。また、1999年には、学校と博物館の連携をめざした「生涯学習プログラム」を作成し、博物館での教育機会の提案をまとめました。
■末広恭雄「想魚記」
面白いことに蟹は目を回すと真っ直ぐ歩くのである。随筆ありインタビュー記事あり、対談・座談会もある。興味津々の研究報告書も加えて編み上げたお噺し読本。
■石黒正吉「くらしの中の魚」
■田口哲「日本の魚」
■河谷日出男「私の博物誌」
■河井智康「イワシと逢えなくなる日」