ぎょ(353) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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魚の文学散歩(うぉーきんぐ)再び③


なめかわ1


■酒井忠康 [さかい ただやす]
1941年北海道余市生まれ。慶應大学文学部卒業。神奈川県立近代美術館勤務、現在、同館館長。維新期の美術をテーマとした処女作『海の鎖』で注目され、その後、美術評論家としても活躍する。近代日本美術論集として『野の扉』『影の町』『時の橋』『遠い太鼓』、現代彫刻論集として『彫刻の庭』『魂の樹』『森の掟』『彫刻の絆』(小沢書店)がある。また郷里、北海道余市での少年期を描いた異色の作品『海にかえる魚』(未知谷)がある。

強い望郷の念が少年期のシーンを増幅させ、五つの掌篇に結実させた。男にとって母とは何か。人が古郷を慕うようなものか。大切なものを一つ失うと心は大地へと傾斜する。魚が海へとかえるように。北の寒村余市の夏、さくらんぼは懐しい香気。土さらに凍る冬を耐え、馬糞風吹く春五月、再び樹木へと育とうとする。忠康少年の追憶シーンは酒井館長に息を吹き込まれ、滑川公一の想像力を刺戟した。男たちの望郷は今、コラボレーションとして結実する。


なめかわ2


■ナメ川コーイチ [滑川公一]
1948年東京生まれ。1974~80年滞仏。猫を描いて20年。1982年日本漫画家協会優秀賞。『猫の国ったら猫だらけ』青土社『なにぬねこ』サンリード『モンパルナスの猫たち』講談社『ア・ラ・キャット』平凡社『キャット・パレード』京都書院。最近作では、『ありがとうをわすれると』学研のさし絵。『海にかえる魚』未知谷のさし絵。その他アーチストとしてBOX・CATや、銅版画で個展多数。日本美術家連盟会員。


なめかわ3

なめかわ4