河童と魚(5)
■怪雨・・・「魚雨」
色がついたり、異物が混じった雨。土砂が混じっている雨は泥雨(でいう)とよばれる。日本付近では、黄砂が原因のことが多く、雨後の樹葉などに灰色、黄褐色などの跡が残る。煤煙(ばいえん)あるいは火災、爆発で空中に舞い上がったものが雨水に溶けると黒い色の雨になる。これを墨雨(ぼくう)という。松の開花期には、風で運ばれた黄色の花粉が雨に混じって降り、水たまりなどに浮くことがあって、硫黄(いおう)の雨ともいわれる。異物が単独で降る場合も怪雨とよばれることがある。まれな現象であるが、魚やカエル、アリなどの小動物、あるいは木の実や穀物、枯れ草などが降った記録が少なからず残っている。「魚雨」の例では、ニューヨークで1900年5月15日の午後、黒雲から10センチ内外の生きた魚が多数降った。このような場合、その多くは竜巻で吸い上げられたものであろう。この種の怪雨は、雷雨や強雨など急激な現象に伴うことが多い。
■ここ数年、英国にて奇怪な現象が相次いで発生している。それは「空から魚が雨のように降る」というおとぎ話のような現象である。しかし事実、これらの現象はここ最近急増しており、先週水曜にも、ポーイスはナイトンの村において空から生きた魚が雨のように降るという事件が報告された。このにわかには信じ難い出来事は、あたかも聖書に記された伝説的逸話のようですらある。しかし、現在この現象を研究する英気象庁の研究によれば、魚やあるいは他の物体が空から雨のように降るというこの一連の現象は、決して奇跡と呼ぶべきほど珍しいものではなく、これまでにも一定の頻度で報告されている一般的な現象であるという。またこうした現象はこれまで様々な映画などにも取り上げられているが、例えば、 映画マグノリア(ポール・アンダーソン監督・1999年)ではクライマックスのシーンにおいて空からカエルが降りそそぐという現象が発生している。「マグノリアの現象はやや行き過ぎですね。しかし実際のところ、魚は、雨のように降ってくるものの中では最も一般的な生物です。またマグノリアのようにカエルが空から降るという現象も確かに知られています。他にはトマト、更には石炭なんかが空から降って来たこともありますね。」気象庁のスポークスマンは語った。ではこうした現象は一体いかにして起こるのだろうか?この現象のメカニズムは至極シンプルである。まずある地域で例えば雷雨のような強い風が発生し、小さな旋風や小さな竜巻が発生する。そしてそれらの旋風が水上を移動した場合、軌道上にある様々なもの - 例えば魚やカエル - を上空に巻き上げたままそれらは風に乗って数マイルを移動するのである。そしてカエルや魚を巻き込んだ雲が雨となるとき、それらの生物や物が一斉に地面に落ち、結果、カエルや魚の雨が発生するという。またこうした現象は英国だけに留まらず、世界中、様々な時代において記録されている。例えば紀元1世紀、古代ローマのプリニウスも魚とカエルが降って来た現象を記述している。更に最近では、ある米国の科学者はこうした現象が出エジプト記におけるカエルの氾濫という故事の起源になったのではないかと推測しており、またそれぞれ他の災害も様々な自然現象に由来するのではないかという研究を行っているのである。
●「カエル」の雨
1873年、米ミズーリ州カンザスシティが嵐の間、カエルによって埋め尽くされた。
1901年7月米ミネソタ州ミネアポリスにて、カエルとヒキガエルによって町の一角が覆われた。ニュースは以下のように伝えている。「嵐が最高潮に達したとき、その一角は空から落ちてきたと思しき膨大な緑色の生き物によって埋めつくされ、続いて普通の雨ともヒョウとも違う、パタパタという音が鳴り響いた。やがて嵐が勢いを弱めるなり、外に出た人々が見たのは、4ブロック以上のエリア一帯が、様々な種類のカエル達によって埋め尽くされるというものだった。カエル達は重なり合い、その深さは厚さ8cmにも及ぶほどで、そのエリアを歩く事はもはや不可能であった。」
1981年5月のある朝、ギリシャ南部の都市ナフリオンにてカエルの雨が降るという出来事があった。カエルはそれぞれ60~80g程度の小さなもので、カエルは木に当たって道路に落ちた。ギリシアの気象学会によれば、カエルはおそらく強風によって運ばれたものであり、カエルは北アフリカ産のものであると鑑定された。
1995年、英国はシェフィールドにて、ネリー・ストロー氏とその家族がスコットランドに向けてドライブ中、激しい嵐にあった。嵐の最中、彼らの車は激しい雨だけでなく、数百匹ものカエルが彼らの車を直撃したという。
●「魚」の雨
インドの小村にて、10人程の村人が重さ4.5kgほどもある魚が空から飛来、彼らを直撃した後地面に落下したという出来事を報告している。このケースは他の事件で降る物体が比較的小さな生物であるのに対し、異常な大きさである。
1861年2月、シンガポールの多くの地域にて魚の雨が降るという現象が報告された。一連の出来事は大きな地震の後に発生しているが、それらの相関性は定かではない。
1948年、英国はボーンマスにてゴルフ場にニシンの雨が降った。
1966年、オーストラリアはシドニー北部にてレオナルド・ボーン神父が雨の中を走っていると巨大な魚が空から飛来し、彼の肩に着地。魚はすべって神父の胸の方に落ちて来たところ神父は見事にキャッチ。しかし、魚は激しく暴れて地面に落下し、そのまま浸水の激しい道路を泳いで消えてしまった。
1989年、オーストラリアはイプスウィッチのある民家の芝生が凡そ800匹ものサーディン(イワシの類)で覆われた。魚は小雨の最中に空から降って来た。
1956年、米アラバマ州チラチーにてある夫婦が晴天の中、空に現われた小さな暗雲を眺めていた。そして雲が丁度彼らの頭上に来た時、雲はその中身を一斉に放出した。空から落ちて来たのは雨、ナマズ、バス、ブリーム(淡水魚)だった。それらの魚は全てまだ生きており、また魚を放出した雲はその後白い普通の雲に変わり、やがて消えた。
写真は1984年、英国はロンドン、イーストハムに降り注いだ魚のもの。一体どこから来た魚なのかは謎である。
まさしく・・・「ぎょ」である。
