魚と漆(2)
漆器は扱いにくいと言われます。それは、漆そのものがデリケートだからですが、その土台となっている木地も生きているのです。湿気と乾燥のバランスをくずすと当然ゆがみが出てきて、ひび割れやはがれが生じるわけです。
最近では、金属のチタンをベースにして、漆塗りを施した堅牢なものが出てきました。蒔絵部分にも、チタン粉を使用するなど新旧文化のコラボレーションが進んでいます。とても、喜ばしいことです。
■柴田是真 古満寛哉について蒔絵を修業し、その後江戸で円山派の鈴木南嶺に、京都で四条派の岡本豊彦について本格的に絵を学び、絵画、漆工両面で活躍する。この画帖は、10枚物の折本で、奇石・二見浦・藤に魚・群蝶・滝・山葵・朝顔に亀・秋霜修行僧・月に兎・稲架に南天の各図を紙本地に色漆で巧みに描いている。数葉に75歳、76歳の行年書を有する。