魚の文学散歩(うぉーきんぐ)[7]
・・・「アタイなあ、これから自分の名前、ジョゼにする」といったことがあった。「なんでクミがジョゼになるねん」恒夫は何が何だか分らぬ顔付きでいる。・・・
■フランソワーズ・サガン(Francoise Sagan)
1935年6月に、フランスのドルドーニュ地方ロット県カルジャックに生まれる。19歳の夏に、処女小説『悲しみよこんにちは』が「批評大賞」受賞し、世界的ベストセラーに。一躍フランス文壇の寵児になる。
1957年に愛車アストン・マーチンで転落事故を起こし、九死に一生をえる。1978年に来日。小説、戯曲と著書多数。『悲しみよ こんにちは』から五十年を経た現在も、男と女、生と死、愛と孤独、ときには社会への鋭い批判を描き続ける。2004年9月 心肺機能不全のため死去。69歳でした。
ジョゼを主人公とする三部作・・・以上で紹介した装丁は画家ビュッフェさんのものです。「毒物」という作品では、サガンとビュッフェさんのコラボレーションによる素晴らしい画文集も出ています。
●「すばらしい雲」サガン(著)朝吹登水子(訳)
若く美しいアメリカ人夫の束縛が息苦しくて、何度も逃げ出してしまうフランス人女性ジョゼ。
彼の嫉妬に悩まされる妻の心理を描いた、サガンらしい小説。
●「一年ののち」サガン(著)朝吹登水子(訳)
パリに住むある階級の男女らが、漠然とした虚無の香りと淡い諦めの絶望感をかもし出す。
●「失われた横顔」サガン(著)朝吹登水子(訳)
夫婦ともにすらりとして美しく、はた目には似合いのカップルに見えるジョゼと夫のアラン。しかし4年間の結婚生活を経た今では、暴力によって支配される嫉妬の牢獄しか残っていなかった。ある女主人の情人が描いた絵の展覧パーティに出席したジョゼは、有能と噂の実業家ジュリュスと出会う。情人の描いた絵を女主人の前で酷評したかと思うと、好奇心に満ちたやさしいまなざしでジョゼの話に耳を傾けるジュリュス。ジュリュスは、サロン・ド・テでたった一度お茶を飲んだだけの奇妙なランデブーの後に、ジョゼを自分の城に連れ去ってしまう。「一年ののち」、「すばらしい雲」に続くジョゼの揺れる心理を描いた作品で、宇野亜喜良氏の装丁も美しい。
日本では、かの有名な宇野亜喜良さんが装丁を担当されました。サガンの作品に「魚」が登場しなかったので・・・宇野さんの作品を紹介しておきましょう。
これは宇野さんと他の作家とのコラボ作品です。
「麻布十番納涼まつり」のポスターです。
これと同じデザインの団扇もあります。
金魚にこだわりのある作家?「田名網敬一」さんとの対談もされています。