ぎょ(271) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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魚の文学散歩(うぉーきんぐ)[5]


おぼれる


■「溺れる魚」戸梶圭太

謹慎中の二人不良刑事が、罪のもみ消しと引き換えに、監察から公安刑事の内偵を命じられた。その刑事は、ある企業から脅迫事件の犯人割り出しを依頼されていたのだ。脅迫は、幹部社員に珍奇な格好で繁華街を歩かせろという、前代未聞の内容だった。いったい犯人の真意とは? 意表を衝く人物設定とスピード感あふれるストーリー展開が評価された快作。


はつえ



■「魚のように」中脇初枝

著者のデビュー作で、第二回坊ちゃん文学賞をこの作品で受賞。坊ちゃん文学賞とは、四国の松山市で一年おきに公募している文学賞で、新しい青春小説が対象です。本書は、この『魚のように』に加え、『花盗人』という短編が収録されています。どちらも中心となる登場人物は学生で、もちろん青春小説なのですが、青春小説というさわやかなイメージとは程遠い、主人公の少年少女の内面と真剣に向き合った物語です。


しおん

■「月魚」三浦しをん

本には二編の小説が収められている。『水底の魚』は《古書無窮堂》の若き店主、本田真志喜が幼なじみの瀬名垣太一とともに地方の旧家へ、蔵書を買い付けにいく話である。瀬名垣は《古書瀬名垣》を名乗っているが、卸専門で店を構えてない。<せどり>の息子としての出自と、無窮堂先代の失踪に深く関わったことが、瀬名垣の生き方に少なからず陰を落としている。旧家の未亡人に請われて不承不承応じた目利き勝負が、このミニマムな世界に一陣の風をもたらし、真志喜と瀬名垣の長い足踏み状態を後押しする結果となる。二人の間に見え隠れする微妙な葛藤と古書肆の日常に、抑揚を抑えた筆致と瑞々しい文体がほろ苦く調和し、活字でなければ成しえない既視感を味わうことができる。古書の発する慎ましい囁き、月明かりを散らした水面をかすめる魚影、いい小説は活字までが美しく見えてくる。『水に沈んだ私の村』は二人の少年時代から切り取った夏の情景が描かれている。秀郎とみすずを加えた四人の交流が眩しすぎて、少し胸が痛くなる。・・・かも?


にき

■「銅の魚」仁木悦子

小学六年生の男の子の一人称によるミステリ。 祖母の家に遊びにきた男の子。 そこで殺人事件に遭遇する。 男の子はある目的がって祖母の家に遊びにきたのだが・・・。