浮世絵(10)
前回に続いて、国芳の「うなぎ」の浮世絵。
うなぎは皮膚が滑らかでヌルヌルした粘膜で覆われていて、鱗が小さく、普通の魚のような形に並んでいない為、多くの人たちはうなぎには鱗が無いとおもっています。しかし、うなぎは皮膚の下の真皮全体に鱗をもっています。うなぎの皮膚には発達した粘膜を出す細胞があります。これを刃物で削ぎとるとゴマ状の鱗が並んでいます。(皮に熱湯をかけるときれいに取る事が出来ます)鱗は体長14~17cmに成長すると、肛門後方から側線に沿って発生し、体全体に発生する最後が尾と腹で、その頃には、体長も21cm以上に成長している。(誕生から2~3年)うなぎの年齢は鱗の成長輪の数に1~2を加えた年齢と推定します。(鱗の成長輪年齢での算出法)うなぎの粘膜は、皮膚呼吸に役立ち細菌の進入を防ぎます。また、この粘液は肺炎の特効薬とされているそうです。
広重の「うなぎ」の浮世絵です。
古代『ムナキ』と呼ばれていた。そして、『ムナギ』→『ウナキ』→『ウナギ』と転じた。関東、日本全体、学問上"うなぎ"と称しているが、関西では、マムシ・マムシウナギと言います。鰻丼も関西ではマムシ丼と言う。これは蒲焼きをご飯とご飯の間で蒸すのでマムシという。または、うなぎがまむしと同じくらい精力がつくからだとも言われています。
「蒲焼」・・・『図説江戸時代食生活事典』(日本風俗史学会編・雄山閣出版)に「古くはウナギを長いまま串に刺して焼いたが、その形がカバ(蒲、ガマともいう)の穂に似ているから蒲焼」という説があるとあります。
「ヤツメウナギ(八目鰻、lamprey)」
ウナギ”と名付けられていますが、魚類ではなく、無顎類(円口類ともいう)に分類される脊椎動物です。魚類ではありません。魚類には胸鰭と腹鰭(人間の体なら手足に該当)がそれぞれ体の左右に1枚ずつありますが、ヤツメウナギにはこれらの鰭がありません。このことは、魚類と異なることを表わす特徴のひとつといえます。種類としてカワヤツメ、スナヤツメなどがありますが、食用とされるのはカワヤツメです。体の両側に7個の鰓孔があり、それが一見眼のようにみえることから「八目」と呼ばれます。体は細長く、約50~60cm。背側は黒青色で腹側は淡色。春に川を遡上し、5~6月に産卵します。
「デンキウナギ(学名Electrophorus electricus )」
デンキウナギ目・デンキウナギ科に分類される魚。強力な電気をおこせることで有名な魚です。体長は1.8mにもなり、デンキウナギ目の魚の中では最大の種類です。和名に「ウナギ」が入っているとおり細長いからだをしていますが、ウナギとはからだのつくりが違い、別の仲間に分類されます。大型の個体は丸太のような胴体をしていますが、尾の部分は左右に平たい。全身はほぼ灰褐色で白っぽいまだらもようがあり、尾にいくにしたがって斑点が小さくなります。のどと腹は肌色-橙色をしている。目は小さく退化しているが、側線が発達しており、これで水流を感じ取って周囲の様子を探る。肛門はえらぶたの直下にあり、他の魚よりもかなり前方にある。ひれは胸びれと尻びれしかなく、長く発達した尻びれを波打たせて泳ぎます。なお、デンキウナギ目の魚は前だけでなく後ろにも泳ぐことができます。アマゾン川流域を中心とした南米北部に分布し、池や流れのゆるい川に生息しています。夜行性で、昼間は物かげにひそみ、夜になると動き出し、おもに小魚を捕食します。