神の魚(2)
ハタハタ“Arctoscopus japonicus”(鰰、英名::en:Sailfin sandfish|Sailfin sandfish )は、スズキ目ワニギス亜目ハタハタ科に属する魚。別名、カミナリウオ。体長20cm程になり、水深0~約550mまでの泥や砂の海底に生息する深海魚です。生息域は太平洋北部、特に日本海、オホーツク海、アリューシャン列島など、秋田県の県魚です。主に食用で、「しょっつる」と呼ばれる魚醤で親しまれています。秋田弁では「ハタハタ」の「タ」の音は鼻濁音で発音されます(鼻に息を抜きながら発音される)。このため、しばしば「ハダハダ」という音に聞こえます。体は体高が高く、左右に扁平で、うろこがありません。大きな口が上向きに斜めに付いており、口には小さな歯が並んでいます。背ビレは前部と後部が完全に分かれ、かなり離れています。尾ビレ、胸ビレが大きく、特に胸ビレは非常に大きい。浮き袋がありません。
ハタハタの産卵時期は,晩秋から初冬にかけてで、沿岸の水深2~10mの藻場に群れをなしてやってきます。雷を伴ったみぞれ混じりの季節風が吹く頃、その雷鳴のとどろきとともに押し寄せるようすから、別名「カミナリ魚」とも呼ばれています。魚の名前の語源は激しい雷をあらわす古語、「霹靂神(はたはたがみ又は,はたたがみ)」から名づけられました。そのため漢字では魚へんに神、又は雷と書いてハタハタと読ませています。ハタハタは秋田音頭で歌われるように、秋田県を代表する魚であり、漁獲量も,昭和30年代までは男鹿半島周辺の産卵群を対象とした定置網によるものが主体でした。昭和40年代から本県でも底曳網で大量に漁獲するようになりましたが、昭和50年代以降資源が減少し、幻の魚と呼ばれるまで漁獲が落込みました。近年は、秋田県を中心とした資源管理の取り組みなどもあり、漁獲は回復傾向にあります。ハタハタはウロコが無いため調理し易く、味も淡泊なので、塩焼き・煮付け・干物・鍋料理・飯ずし(いずし)など、何にでも利用できます。また,ハタハタの卵は大粒で、これをしょうゆ漬けにしたものを「ブリコ」と言って、コリコリとした一種独特の歯ざわりがあります。
第15回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『来たどハタハタ待ちこがれた神の魚』(制作:秋田テレビ)今まで知らなかった生態。そして幾多の困難を乗り越えて待ちに待った初漁の瞬間に生まれる感動。さらには新たな味覚との出会い。ハタハタに身も心も奪われた冬。神の魚の魅力にとりつかれる冬がまたやって来る。