ぎょ(96) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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浮世絵(6)

私が絵本に興味を抱いたのは大学時代。大学の資料館で絵本展が開催され、様々な素晴らしい絵本に出会いました。以来、その絵本が欲しくてあらゆる本屋を探し回りました。そんな中で、日本にも素晴らしい絵本作家がおられることを知りました。その一人が「米倉斉加年」さんです。浮世絵を思わせる繊細な画風に心惹かれました。現代の「絵師」と呼んでもいいでしょう。


人魚物語


米倉斉加年、1976年に「魔法おしえます」でボローニャ児童図書展グラフィック賞児童部門大賞を受賞。続いて1977年に「多毛留」がグラフィック賞青少年部門大賞を受ける。1987年には「おとなになれなかった弟たちに」が中学一年生用教科書に採用される。


トトとタロー


「多毛留」から27年、孫に読ませたいと、祖父米倉斉加年が描き、母かの(長女)がお話を書いた平成15年8月発刊の最新作。「絵本を娘と一緒につくるのが夢でした。途中で娘は結婚しました。そして息子が生まれました。その子が四歳になりました」このような願いから生まれた一冊の絵本。母となった長女のかのさんが文章を書き、祖父の斉加年さんが絵を描き、孫に読ませるという、羨ましい夢が実現したのが「トトとタロー」。実はこの本が出版されるまでに8年の歳月がかかっている。


トトとタロー2


おおきな海にちいさなトトという魚がおりました。
おおきくなりたいと思ったトトは、
おおきな魚に食べられて、おおきな魚になりました。
おおきくなったトトはもっとおおきくなりたいと思い、
もっとおおきな魚に食べられました。
トトよりおおきな魚がいなくなったある日、トトは人間をみます。
人間になりたいと思ったトトは少年タローにこう言います。
「わしを食べておくれ……」


小さな魚トトは大きくなりたいと思い、大きな魚に食べられてゆくことで体を大きくしていきました。しかし大きくなりすぎて一人ぼっちになってしまい、行き場所を失って人間に出会いました。人間になりたいと思ったトトは少年タローに食べてもらうことにしました。食べられたトトは果たして人間になれたのでしょうか。生物の輪廻を描くちょっと不思議なお話。


スイミー


魚が登場する絵本でもっとも有名なのが「スイミー」でしょう。


スシミー2


「スイミー 小さなかしこいさかなのはなし」作絵:レオ・レオニ/訳:谷川俊太郎

ちいさな赤い魚の兄弟たちのなかで、1匹だけ真っ黒の魚の「スイミー」。大きなマグロがやって来て、兄弟の魚たちを飲み込んでしまいます。逃げられたのはスイミーだけ。けれど、海の中にはくらげやいせえび、いそぎんちゃくなどいろんな生き物がいます。そんな中見つけた、スイミーにそっくりな小さな赤い魚たちに「遊ぼう」って誘っても「大きな魚に食べられるから」と岩陰から出て来ません。スイミーは考えて・・・皆で大きな魚のふりをして泳ごうとみんなを誘います。赤い魚たちの中でスイミーは目になって、みんなで力を合わせ大きな魚を追い出しました。


にじいろのさかな


「にじいろのさかな」作絵:マーカス・フィスター/訳:谷川俊太郎

青く深い遠くの海に、にじのように様々な色のうろことキラキラ輝く銀色のうろこを持つ、特別美しいさかなが住んでいました。「にじうお」と呼ばれるそのさかなは、自分の美しさをはなにかけ、他の魚たちに誘われても返事もしないありさまでした。ある日一匹のさかなが、にじうおにキラキラうろこを一枚くれとねだりますが、にじうおは怒って追い払ってしまいます。この話が他のさかなに伝わり、にじうおはみんなにそっぽを向かれるようになります。ひとりぼっちになったにじうおは、たこのおばあさんに相談に行きます。たこはにじうおに、キラキラうろこを他のさかなたちに一枚ずつわけあたえるようにアドバイスします。「それでおまえは、いちばんきれいなさかなではなくなるが、どうすればしあわせになれるかがわかるだろう」そしてにじうおは、再びキラキラうろこをねだってきたさかなにうろこを一枚与えます。他のさかなたちにも一枚ずつ与えて、とうとうたった一枚になってしまいます。にじうおは一番の宝をみんなあげてしまいましたが、とてもしあわせでした。