シュール話(1)
流行にうとく、めったにテレビも見ない。そんな私がたまたま見た音楽番組で「ぎょ」とした。久し振りに衝撃を受けた。
「た~らこたらこたっぷりたらこ」あまりにもストレートな歌詞、歌う二人の可愛い少女。愛嬌のある振り付け、そしてコスチューム。「キグルミ」というらしい。何にもまして、その被り物に眼を奪われた。
被り物はもちろん「たらこ」をイメージしたものなんだが、私はその形態によって深層心理をえぐられた。
それは「シュール」であった。思春期特有の「ぬめっ」とした質感、生臭く湿気を帯びた空気感・・・
そう・・・ダリの絵画に登場する得体のしれない物体、「つっかい棒」をしなければ、そのままドロドロずるずるとタダレ落ちそうな予感・不安・・・「た~らこたらこ・・・」という繰り返しがかえって私を超現実世界に没入させる。
“事実(現実)は小説より奇(稀)なり”というフレーズにとらわれる。