職人魂(3)
木彫の魚で忘れてならないのが・・・
高村光太郎さんの「鯰」である。その存在感というか・・・一般的なフィッシュカービングとは違った何かがある。芸術と工芸の違いは定かではないが、なぜか感じ方が異なるのはどうしてだろう。この作品には「なまず」とするよりやっぱり「鯰」と書いた方がよく似合うのも不思議なことである。
フィッシュカービングにも芸術作品と呼んでも遜色のない作品は多い。ただ、店頭に並んでいるか美術館に展示されているかの際どい差があるのみである。アルチザンとアーチスト・・・永遠の命題かもしれない。
彩色を抑えて、木の美しさをそのまま生かした作品。素晴らしい・・・
北海道を代表する木彫、アイヌ工芸という表現が良いかどうかは疑問であるが、アイヌの精神性を感じたい。ただ、生きるためには・・・実演販売という形もあったりして、複雑な思いになることもある。
猫には「イワシ」や「サンマ」が似合う。熊にはやっぱり「シャケ」である。
これは悩むことなく工芸品と呼べそうな作品であるが、とても気に入っている。厳しくせまってくる作品とやさしくホンワカさせてくれる作品があって、そのどちらもが私たちには必要な気がする。