あきんど魂(1)
私の服装があまりにも「ダサイ」と娘が言うので、それならばと、娘のセンスで服装を選んでもらうことにした。連れ合いの体型はどうしようもないが、私の体型ならそれなりに「ちょいワルおやじ」をきめられるそうである。
最近ではめったに近寄ることもない若者専用衣料店に二人で入り、あれやこれやと選んでもらう。ジーンズも古めかしいのにどうしてこんなに高価なの?と首をかしげながら財布のヒモをゆるめる。私が「かえる」好きなのを知ってか、おもしろいTシャツも選んでくれた。
なかなかレトロなTシャツで私も気に入った。「ほうてんががく」?何かの「パロディ」だろうと思って気にせず着用していた。
そして第3回「すくらんぶる」展に着て行ったところ、メンバーの一人が同じ「ブランド」のTシャツを着ているではないか。「ほうてんしょうてん」というブランドが若者に流行しているらしいと知り、ちょっとうれしくなった。知らないということは恐ろしい。
偶然立ち寄った「ドンキホーテ」で大好きな「藍色」の「タオル」を発見。「ほうてんしょうてん」ブランド、しかも「魚」図柄の「かつを節」迷わず購入。この調子ならもっと「魚」図柄があるに違いないと調べてみたら・・・
いやはやお恥ずかしい・・・ブランド名は「ブーデンあきんど」と言う。「BUDEN」とはドイツ語で「屋台」の意味、最近関西を中心にして人気が出ているブランドである。クルーズカンパニーというネット中心に展開しているアパレルメーカーのブランドで、「屋台」のイメージで衣料品にレトロ感覚のプリントや刺繍をあしらっている。有名な女優が着用したりして、全国的にもファン層を広げてきている。
案の定、「魚」図柄がいろいろ見つかった。上の写真はトランクス。色合いとしてはタオルの方が「藍色」っぽくて好きだなあ。でも「金魚屋豊天」とは、なかなかシャレている。本当に大和郡山市にありそうなネーミングである。
その他いろいろあるのだけれど、ネットで注文してしまうのも癪に障る。レトロなものはレトロに購入したい。さて、この商法というかデザインセンス・・・「あきんど魂」は、私たち「すくらんぶる」がめざす方向に近い。「和風」「レトロ」そして「パロディ」・・・「遊び心」「子ども心」である。
そもそも私が生まれ育ったのが、駅の真横、商店街のど真ん中。祖父母が「煙草屋」で、隣が私の家「お菓子屋」である。「まいどおおきに」が挨拶という日々、店にやってくるお客さんに可愛がられ「ぼんぼん」と呼ばれて過ごす。まさか「芸術」を志し「教師」になった者など、私が最初で最後のようである。今でも電話の応対は元気に「まいど」の調子で、「教師らしくない」と言われるのがとても嬉しい。結局「芸術家」になりきれなかったのは・・・やっぱり染み付いた「あきんど魂」なのではないかと思っている。「教育」において「あきんど魂」は有効である。まず「元気」そして「愛想」、軽やかにはずむ「会話」で「その気」にさせて、「もうける」のである。時々「たたき売り」もするし、お得意さんには「儲け抜き」の商いもする。だから今日まで倒産・夜逃げすることなく「教育」の商いを続けてこれたのだと思う。