ブリキ話(2)
■そもそもオイルサーデンとは???
こいわしの頭と内臓をとって、高濃度の塩水に軽く漬け、オイルで煮込むとオイルサーデンになります。オイルサーデンは「油漬けいわし」なのに対し、アンチョビは「塩漬けいわし」ということです。
■そしてコンビーフとは???
コンビーフの語源をひもとくと"corned(〈肉などに〉粒の塩をすり込んで保存した)beef(牛肉)"となり、「塩漬け牛肉」のことになります。ニューコンビーフというのもありますが、あちらは牛肉と馬肉でつくったものを指し、コンビーフといえば牛肉だけでつくったものをいいます。
■どうしてコンビーフの缶詰は四角い台形なのでしょう???
あの缶の形はブラジル・アルゼンチンあたりで作られ始めたそうですが、当時は真空を作り出す装置もなく、全部手仕事でコンビーフを詰めていたので、缶の中にびっしりコンビーフを詰め込む為にはあの形がもっとも効率良かったと言うのが採用された理由のようです。それが全世界的に広まったのです。現在は真空を作る機械もありオートメーション化されているので、他の缶詰と同じ形に納める事が出来るわけですが、イメージとして「コンビーフは台形」とのすりこみがあり、一時期あるメーカーが丸い缶詰コンビーフを出しましたがまったく売れませんでした。しかたなく、従来の台形に戻したと言う逸話もあるほどです。
コンビーフが大量生産されるようになったのは、1861年にアメリカで起こった内戦・南北戦争の時です。もともとナポレオンが戦場に持ち込める長期保存食として開発された缶詰ですが、さらに「四角い形なら輸送する時に無駄がない」と考えられ、もっとも必要だった肉の缶詰コンビーフに採用されたとも言われています。そして他の缶詰のように上蓋を切って取り出す形式の缶詰では、せっかくの肉が崩れてしまうと言う理由から、現在も作られているあの台形で途中を切って開ける形式の台形缶詰が考案されたとも言うわけです。コンビーフの缶は、一般的な缶詰に使用されているブリキが0.2~0.3ミリの厚さなのに対して、0.1ミリ程度の極薄を使っています。もちろん、あの備え付けの缶切りで缶の真ん中部をムキムキッと開けるためにその薄さになっているのです。