ぎょ(28) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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金魚話(5)

家族旅行と言えば「スキー」がもっぱらだった昔の話。その年の暮れは、連れ合いの都合がつかず私と子どもたちだけで青森県の鯵ヶ沢へとスキーに出かけた。日本の祭りの中でもっとも興味そそられる「ねぶた祭り」、その時期には見ることができないので、せめて「ねぶた会館」に行きその雰囲気だけでも味わいたいと、スキーを終えて駆けつけた。そこで予想外のものを発見したのである。それが「金魚ねぶた」であった。勇壮で巨大なねぶたのイメージに対して、可愛くてほのぼのとしたものを感じる。手頃な大きさのものがあったので、早速お土産として持ち帰った。


金魚ねぶた


■青森県「金魚ねぶた」

中国大陸から日本各地に渡来した金魚は、津軽藩でも飼育され、藩財政の一助にするための産業として、藩の保護のもとに飼育改良が重ねられました。この金魚はその後「地金魚」と呼ばれていましたが、昭和2年に弘前金魚協会によって「津軽錦」と命名されました。この津軽錦-古くは地金魚-を目にする機会がなかった当時の人びとは、大きな興味と関心を持ち、その現物を見てみたいという想いが、せめてもの形として「金魚ねぶた」が創り出されたと思われます。


金魚ねぶた2


それから半年後、連れ合いが職員旅行で山口県に行くという。別に興味もなかったのであるが、お土産に持ち帰ったのが柳井の「金魚ちょうちん」であった。あまりに「金魚ねぶた」に似ているので驚いた。本州の端と端、青森と山口の金魚が私の家で出会ったのであるから驚きである。


金魚ちょうちん


■山口県「金魚ちょうちん」

江戸時代から伝わる柳井の郷土民芸品。全国に手広く商いをしていた柳井の商人が、青森のねぶたをヒントに考案したと言われ、昔はお迎えちょうちんとして使われていたもの。和紙と竹ひごを使い、印象的な赤い色は「柳井縞」の染料を用いています。毎年8月上旬、白壁通り周辺では一斉に金魚ちょうちんが飾られ、夜は灯りが入りとても幻想的。ゆらゆらと泳ぐ姿は、夏の風物詩。鈴木克美著「金魚と日本人」に、幕末のころ山口県柳井市では、津軽から金魚ねぶたを移入して、現在まで続く「柳井の金魚提灯」をつくった。との伝承がしるされています。


金魚ちょうちん2


金魚話はこれで終わります。次は「ブリキ話」をはじめたいと思います。どうもプリキの金魚を見ていて気になっていたのです。ブリキという響きに郷愁をそそられませんか?