青の伝説(95) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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虫送り

《青い争い》漢字の成り立ちは象形、指事、会意、形声の4種があり、「静」の字は形声文字です。形声文字は意味を表す部分と、字音を表す部分によってできている漢字のことです。「静」という漢字は「青」に関係する「争」と読む字ということになります。「青」は「清らか」という意味であり、「争(ソウ)」が変化して「セイ」と読むようになったということです。これは2000年も前の中国の漢字学者・許慎(漢字の字源研究の創始者)がとなえた説で、この考えは長く信じられてきました。しかし、「静」の字は「セイ」と読むのですから、むしろ「青(セイ)」の部分が音を表すと考えた方が自然で、意味を表す部分は「争」ではないかと考えられます。『新字源』では、「静」は「あらそい」を表す「争」と、音を表す「青(セイ)」によってできている字だとしています。「青」には押しとどめる(制・セイ)意味がり、「争いをしずめる」という意味になると説明しています。形声文字は「意味を表す部分」と「字音を表す部分」によって成り立っていますが、この、「字音を表す部分」も実は音だけでなく意味も表している、という考え方があります。この考え方の代表的な漢和辞典が『学研漢和大字典(藤堂明保著)』です。本書では「静」は、意味を表す「争(とりあい)」と字音を表す「青(セイ)」からできている文字だとしています。「青」には「すみきった」という意味があり、この字の意味は「取り合いをやめてしんと澄み切った雑音のない状態になること」だと説明しています。さらに、字源の研究には、今から3500年も昔の中国の殷の時代に亀の甲や牛の骨を使って占いをしたときに、その結果を書き残した文字である「甲骨文字」の研究が重要です。この文字を深く研究したのが白川静氏で、多くの漢字は祭祀や儀式に深くかかわっていると考えておられます。白川氏の『字通』によると「静」は「青」と「争」を組み合わせた会意文字だそうです。さらに「争」は「あらそう」の意味ではなく、耜(すき)を上下から持つ形で、「静」の字は「耜を清めて虫害を祓(はら)う儀式」であるとしています。なお、「争」の字は当用漢字以前には正式には「爭」と書いていました。また、「青」の字も下半分を「円」の形に書くのが正式であるとされてきました。字源研究では、正式であるとされてきた「靜」の字形で昔から研究されてきました。http://www.shinchosha.co.jp/shoushin/kanji_ichiran/kanji0212.html より

《虫送り》稲作や畑作の害虫駆除を目的とする呪的行為として虫送り行事がある。特に、稲作を中心として来た我が国の農民にとって虫の被害は、生活を脅かす恐ろしいことであり、また稲を食い荒らす虫は悪霊の化身とも考えられて来た。そのため、農作物の被害から逃れる方法として、科学的駆除の試みとともに虫の霊を鎮め、村の外へ虫の形代を送り出す呪術的儀礼も行われた。青森県における虫送りの諸類型としては、大きく五つに分類することができる。(A)ニンギョウ(人形)を形代にした虫送り(B)ムシ(虫・大蛇・龍)を形代にした虫送り(C)ハタ(虫の絵・悪虫退散などの文字)を用いての虫送り(D)宗教者が関与する虫札と虫送り(E)その他の虫送りhttp://www.komakino.jp/touhoku-minzokugaku/oyu-musiokuri.htm

《虫探神事》氏子の間では虫干し神事と呼ばれている。神迎神事同様、役前の者は頭人宅に集合し、社務所に神職を迎えに上がる。神職以下拝殿に伺候し、開扉される。神職達によって神宝の太鼓、鼓が拝殿に本殿から下げられる。最後に神面が拝殿中央に下げられ、巫子がこの面をかぶり、巫子舞を奉納する。その後、宮司がこの面を白紙で撫でる。この間、参列者は神面に対して拝礼する。これが終って神面から始めて、楽器類は本殿に納められ、神事は終了する。役前以下は神事が終わると頭人宮に篭る。ここでも御神体と考えられている面が取り出され、白紙が撫でられる。この面は頭人以上でないと触れてはならなとされている。神社側、頭人側から虫祓いの札(撫で紙)は人々に配付される。この神事は以前は7月7日に行われていた。七夕は一般に祓いの時と考えられており、虫祓いや禊などが行われていることが多い。また七夕には雨が降ると伝承されている場所も多い。神事で撫でられる面が雨乞いの効能を持つと伝承されていることを考えると、非常に興味深い。(島根県の出雲地方・八束郡美保関町美保神社)

《七夕の雨は虫になって作物にたかる(長野)》七夕の笹飾りのルーツは、農耕行事の際に田んぼの虫よけに立てた飾った竹だとの説があります。田の端に竹を立てたので、”タナバタ”というとか。福島では、七夕の後に笹竹を野菜畑に立てると虫除けになるといわれています。また、鳥取では七夕の色紙を台所に吊るすと蛇が入って来れないと言います。島根県の美保神社では、七夕に虫祓いの札を作って配ります。この札は”水乞い”の面を撫でた紙です。水と虫はセットになっているようです。この季節、雨が降ると害虫が増える、ということなのかもしれません。http://enkan.fc2web.com/zatu/10.html より

《虫供養》虫送り行事は全国各地にそのなごりがあります。今や実効性はないのでむしろお祭りとして継承されているようです。奈良県・室生の笠間地区でも各集落で行われています。「虫追い」「虫送り」などどちらも言われていますが、ここでは「田の虫送り」と呼ばれていました。田の害虫を隣の村境まで送るのだそうです。農業をする上で色々な虫の殺生もするので虫供養の意味もあるようです