青の伝説(94) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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ナウシカ

今回は宗教と青色の関係について調べてみました。

阿弥陀経》「青色青光、黄色黄光、赤色赤光、白光白色白光微妙香潔」これは極楽浄土の姿を顕したもので、池の中の蓮の花が、青い花はすばらしく青い光でまわりを照らし、黄色や赤色、白色の花もそれぞれの色で鮮やかな光を輝かせており、すばらしくいい香りを放っている。

《チベットラマ教寺院「大召(ダージャオ)」というラマ教寺院。昔ダライラマ3世が訪れた由緒正しき寺院です。建物の装飾は青をベースにした細かいペインティングが、色鮮やかでとってもきれいです。独特な香りと、何か神聖な空気が流れ訪れる人々も、皆神聖な面持ちです。

世界で最も好まれる色は何色か》「好みの色」の国際比較調査で常に上位を占めているのは青色だということです。この青色は、空の色であり、また、「地球は青かった」という名言にもあるとおり、地球の色でもあります。だから、国境も民族の違いも超えて、愛される色であるようです。キリスト教にとって青色は「ブルーヘブン」、すなわち、天国の色です。一方、イスラム教の天国の色は緑。これは、イスラム教が砂漠の民の宗教であるため、樹木の色を好むためであるようです。仏教やヒンズー教、道教など、東洋の宗教では、黄色が聖なる色とされています。「黄道」「黄泉の国」等のような言葉にも表されていますが、何より、東洋人にとって黄色は、作物の実りの色として親しまれています。ところが、この黄色は青色と違い、好きか嫌いか分かれる色です。キリスト教徒の多くは、キリストを売ったユダが黄色い衣をつけていたという理由で、好ましくないイメージを抱いています。ユダヤ人差別に、黄色を使用していた悲しい歴史もありました。とは言え、湾岸戦争時には「イエローリボン」に希望を託し、兵士が無事に帰還することを祈ったという例もあり、色の好みによる差は、年々小さくなっていると言われています。世界には、たくさんの色があふれています。時として、人は、その色によって差別や対立することもあります。肌の色、宗教の色、国旗の色・・・他にも、いろいろあるでしょう。しかし、宇宙から見れば、それら全てが青色に見えるわけです

《『風の谷のナウシカ』を読み解く》『風の谷のナウシカ』を宗教学の視点から解読するのではなく、『風の谷のナウシカ』の物語を「引き出し」にして宗教学を学んでいこう、という本です。例えばナウシカの着ている服は青色ですが、キリスト教において青色はどのような意味を持っていたのか、黒色だった聖母マリアの服はなぜ青色へと変遷していったのか、といった具合にナウシカの世界から宗教学の世界へと導いてくれます。宗教学だけでなく雑学的な知識がふんだんにもりこまれていますから、著者の筆の勢いにのって宗教学の世界へと引き込まれることは間違いないでしょう。また、付録の「宗教的な智恵とエコロジー」では、エコロジー小史を簡単に追いつつ、各宗教における自然へ姿勢を知ることができます。著者がチベット密教が専門のためインド仏教にかたよりがちな点もありますが、タイトルの「はじめての宗教学」の名に恥じない宗教学の入門書です。

ブルー・サファイア》ギリシャ語でもラテン語でもヘブライ語でも「青」を意味する語源を持ちます。キリスト教では、神が知恵と予言の力を与えたとされている宝石であり司教はサファイアの指輪をはめて、聖なる祝福を信者に与えました。スリランカやタイなど仏教国で産出するだけあって仏教徒にも尊重されています。それらの国々では、信仰深い人が身につけると、心が平和になり病気や災難、へびの毒などをまぬがれるとされていましたヒンドゥー教ではバラモン(僧侶)は淡い青のサファイア、クシャトリア(貴族)は赤を含んだ青、ヴァイシャは菫を帯びた青、スードラ(庶民)は暗い青のサファイアを身につけると幸せがくるとされていました。また、サファイアを贈られた人が不貞を働くと色が変わると信じられており、その性質から恋人を試す「ドゥ・サフィール」という風習もあったようです。ルビーと同じコランダムという鉱物の一種ですが、赤色以外はすべてサファイアとされています。無色、ホワイト、ピンク、ゴールデン、バイオレットなど多彩で、青以外の色をすべてまとめて「ファンシー・サファイア」と呼ぶこともあります。中でもオレンジ色にピンクを少し混ぜたような色合いのサファイアはパパラチア・サファイアと呼ばれ、最高級品とされています。「パパラチア」とはスリランカ語で蓮の花のつぼみの意味です。ルビーと違って内包物やひび割れはほとんどなく、硬度は十分、薬品にも強いので、取り扱いは安心な宝石です。ピンクをわずかに帯びた矢車菊(コーンフラワー)の柔らかな青色がブルー・サファイアでは最高級品とされ、主にインドのカシミール地方で産出されますが現在ではほとんど採りつくされ、アンティークの宝飾品でしか見ることができません。現在はスリランカ、ミャンマー、タイ、オーストラリアなどで産出します。現在はスリランカのサファイアが一番上質とされており、やや色が薄いのですが透明度の高い紫みのある青色をしたサファイアが産出されています。ミャンマーでも大粒の濃いサファイアが採れるのですが、量はわずかです。タイ産のサファイアは黒に近い濃い青色をしており、オーストラリアのサファイアは小粒で色が濃すぎたり、緑がかっていたり、灰色がかっていたりとあまり上質ではありません。別名ウォーター・サファイアと呼ばれるアイオライトはサファイアとは全く別物で一定方向から見ると、青い色がまったくなくなって水のように透き通って見える宝石です。

blue永遠・無限の空間、時間と空間、調和と協力、精神、真実、純粋さ、知性の光、内面的な活動、無慈悲な神の裁き、誠実で冷静な天使を表す。率直さ・無垢・勇気・栄光・公平さ・愛・超俗・平穏・普遍性・保守主義・内向性・瞑想・哲学・信心・献身・冷淡さ・希望・信仰・深淵・自由・満足・潜在意識・鋼鉄・剣・冷たさ・残酷・破壊・愛の喪失・絶望・失意・弱さ・屈服・無抵抗の象徴。月と関連して、優しい愛、無限性、包容力、湿気、モノを覆い隠す力、深い知恵、魂、宇宙の秩序を表す。

エジプト:真実の象徴。太陽神・天空神は青色をしている。永遠の知恵をもつヘビは、青と黄色の縞模様。ヘブライ:エデン(=永遠の青春)、十戒の書かれた石、大祭司、蒼穹を表すヤハウェの玉座を表す。キリスト教:神の慈悲、贖罪、謙譲、誠実、敬神、希望、超俗を表す。中世では、俗世の愛・愚行を表す。心理学:赤色の反対。精神的なモノを表す。広いが寒々とした空間、憂鬱を表す。紋章:忠実・忠誠・不動・信仰・謙譲・貞節・学問の象徴。関連:天界の神々。万物の父。天空神。金髪碧眼の神々。アモン。オシリス。シン。ゼウス。オーディン。モーセ。ハトホル。デメテル。月。木星。金星。錫。胆汁。肝臓。緑柱石。ダイヤモンド。トルコ石。ラピス・ラズリ。サファイヤ。トパーズ。

聖母マリア》宗教画に最も多く描かれているのは、なんと言ってもイエス・キリストと聖母マリアでしょう。聖母マリアの図像はとりわけ多く存在します。しかし福音書によるものはごく一部で、多くの古代宗教の中心に置かれた地母神信仰の対象としての母の姿として描かれたのです。エジプトの女神イシスや地中海沿岸の異教の国々の神を取り込んでイエス・キリストの母、つまり「神の母」としてローマカトリック教会は聖母マリアを育んでいったのです。聖母は伝統的に青色のマントとヴェールを身につけています。それは「天の女王」の役割として空の色である青色。衣は普通は赤色ですが、キリストの受難に立ち会う場面では、紫または灰色のこともあります。「受胎告知」ではユリの花を大天使ガブリエルが手に持ちマリアの前に現れますが、ただのユリではありません。オシベの無いユリの花です。処女でイエスを身ごもったマリアには、清らかな純白のユリの花が持ち物として決められているのです。処女性一般の概念を暗示する"閉ざされた庭"も重要な意味があります。また一角獣もよく描かれます。一角獣は触れたものなら何でも浄化する力があり、これを捕獲することが出来るのは処女だけだと言います。さらに平和の象徴のオリーブ。聖母のマントに見られる星:ヘブライ名ミリアム(Miriam)の意味である「海の星」。キリストの家系樹であるエッサイの樹をマリアの時は花の絡みついた小枝の形にします。

ローズマリー ローズマリーの花は元々白かったと言われています。ではなぜあの美しい青色になったのでしょう。それは、聖母マリアが幼いイエスを抱え、エジプトに逃れた時、ヘロデ王の追手から隠れるために、ローズマリーの木の枝に身に付けていた青いマントを投げかけたのです。その後そのマントを取ると、ローズマリーの白い花は美しい青い花へと、その色を変え、芳香を放ち続けたそうです。それ以降ローズマリーの花は青いままなのだそうです。 ローズマリーの名前の語源は、ラテン語の「海のしずく(ros marinum)」から来ていると言われています。ローズマリーの学名は、rosmarinus officinalis。学名にそのまま語源の由来が残っています。これはローズマリーが海辺でよく育つからとも言われていますが、地中海沿岸地方が原産であることからも納得できます。一方青い花のいわれからか、この「海のしずく(ros marinum)」がなまって「マリアのバラ(rose of mary)」と呼ばれるようになり、それが今のローズマリーの名前になったという説もあるようです。 ローズマリーの花言葉には、「思い出」があります。これは先ほどのマリアの青いマントと並び、マリアがイエスの亜麻布をローズマリーの上に広げたところから、イエスの受難の日に、この幼きイエスをしのんで咲くといういわれから来ているもので、ローズマリーの潅木は、イエスの身長より高く育つことはなく、また、イエスの受難の年齢と同じ樹齢になると枯れてしまうとも言われています。こんな悲しい物語を背負った花ではありますが、その強い芳香がいつまでも残ることから「永遠の愛のシンボル」ともされていました。結婚式には花嫁の花輪の材料となったり、ブライズメイド(花嫁の付き添い)がローズマリーの小枝を香料入りの水に浸して運んだり。また、花嫁がローズマリーの小枝をブーケに挿し込んで結婚式を挙げ、その後新婚家庭の庭にこの枝を植え込み、根付けば、花嫁がその家の女主人になるというお告げである。つまりその花嫁は出戻ることがない。などといういわれもありました。洗礼者ヨハネの日のイブの日(6月23日)、小麦粉をボウルに入れ、ローズマリーの木の下に置くと、翌朝将来の結婚相手の頭文字が現れる。また、ローズマリーの小枝を各小さじ1杯のワイン、ラム酒、ジン、酢、水を混ぜ合わせガラスビンに入れたものの中に浸し、マグダラの聖マリアの日のイブの日(7月21日)にその小枝を取り出して胸に留めつけて眠れば、夢に未来の恋人が現れる。そんな言い伝えもある神秘の愛のハーブが、ローズマリーなのです。