青の伝説(60) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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藍染布

防虫・防蛇効果について科学的根拠は明らかにされていないとは言うものの、近年の自然派・健康志向からかなり「藍染め」の効能は市民権を得ているとしか言いようが無い。ともあれ、「染料」の多くは薬草でもあった事実、というより古代において「衣(医)食住」は同源と考えるべきなのかもしれない。

(1)内藤記念くすり博物館「薬用植物に親しむためのハンドブック」より

藍葉(日干しにしたもの)は解毒、藍澱(発酵したもの)は解毒・止血、青黛(石灰を加えてできた泡を乾燥)は解熱・止血、藍実(果実を日干し)は解毒、虫刺され:生葉をもんでつける。痔、切り傷:藍澱、青黛を外用、風邪・発熱:10gを水(コップ1杯)で半分になるまで煮詰める。上澄みを食間に飲む。藍染めは、蛇や虫が藍の匂いを嫌うので、山岳地帯で生きる彼等民族にはかかせない物。藍つぼのある場所に入ると、ツンと鼻につく臭いが漂っており、虫が寄りつかないことにも納得できる。

(2)長い年月で育まれた藍は、その生活体験の中からさまざまな効用が認められています。

1.薬用
藍葉や、藍種は、ふぐ中毒の解毒に、また解熱用として感冒薬として使われました。藍種・藍葉は、煎じて飲めば健康増進に良いと言われています。歴史的に見ても、正徳2年(1712年)の「和漢三才図絵」の序の中に、藍の実には諸毒を解し、五臓六腑を整える薬効効果があると記されています。そして昔の旅人は、藍葉を持って旅し、食あたりや熱冷ましに用いていました。藍の葉から取った藍茶は、飲用すると健康に役立つ効果が実証され、中国では食道ガンの特効薬として使われたという記録が残されています。

2.防虫
藍で濃く染めた布や紙は虫を寄せつけないと言われ、ヘビなども近寄らないために、野良着やモンペ、足袋など仕事着に藍染めが用いられました。藍染めのきものをタンスに入れておくと、ナフタリンは入りません。あせもやかぶれ、皮膚病にも殺菌効果があり、藍染めの下着や靴下が重宝されています。こうしたことから、昔の装束や大切な教典なども、藍で守られ、今に残っているのです。

3.消臭・保温
藍染めの下着を着ると汗臭さが無く、しかも温かい。肌荒れを防ぎ、冷え性にも効果的と言えます。むかし武士達は戦場に行くとき、下着は藍染めであったのも、古来から藍の持つ効用のゆえであります。

4.生地を強くする
藍染めは糸を強くすると言われています。昔の火消し装束、よろい、かぶとの紐、剣道着、等に藍染めが用いられました。

(3)明治の始め、日本に来た外国人が「青い屋根の下の家も小さく、青いのれんをさげた店も小さく青い着物をきた人も小さい。」と言ったほど青く澄んだ大気に満ちた国日本。それほど藍染めの衣料は私達の暮らしにいつでも身近に溢れていたものでしたが、今のようにファッション的というより、アメリカで西部開拓をする人々がガラガラ蛇から身を守るためブルーデニムが生まれたように、毒虫や蛇除けのためその効果がある藍で染めた野良着で仕事をするという生活の中から生まれた知恵だったのです。昔、おばあちゃんは柳李(やなぎごうり)の中に藍染めの着物を一枚入れ、大切な着物を虫から守ったというのも有名な話。でも急激な防虫剤の普及や生活環境の変化のもとに、いつしか姿を消しつつある色でもあったのです。

(4)藍の持つ不思議なちから

万葉のむかしから暮らしと共に生きてきた藍。人々にとって、病や災いから身を守るためにも欠かせないものだった。

☆ 武士は鎧の下に藍染肌着を着て、切り傷・虫刺されから身を守りました。
☆ 藍染めの着物を箪笥に入れておくとその防虫効果で樟脳は不要。
☆ 昔、旅人は藍葉を持って旅し、ふぐ中毒・食あたり・熱ざましなどの民間薬として用いました。
☆ 塩水や海水に強く漁師の祝い着として藍染めは用いられました。
☆ 江戸時代の火消し装束や機関車の釜を炊く国鉄職人のユニフォームも火に強い藍染めでした。
☆ 藍の畑は蛇が近寄らない事から小鳥達の格好の子育て場となるそうです。

(5)藍染は昔から桐タンスに掛けたり、他の衣類と一緒に入れることにより防虫効果があり、沖縄では、外出の時も藍染の衣類を身につけて、ハブや虫から身を守ったと昔から伝えられておりそのせいか、不思議と沖縄の藍畑では、ハブを見かけないと言われています。また、アトピー性の肌にもやさしく抗菌作用もあり、人に優しい天然染料です。古来より野良着などに藍が使われたのは、毒蛇や虫などをよせつけず紫外線防止効果もあるそうです。