《アジサイ》語源は「集真藍」(アズサアイ)で、アジは(アズ)で集まること、サイは(真藍・サアイ)で、青い花が多数集まって咲くことからアジサイと名付けられたといわれています。日本が原産の花で、古くは万葉集にも「味狭藍」「安治佐偽」として詠まれています。「言問はぬ木すら味狭藍諸弟らが練りの村戸に詐かヘけり」(大伴家持)・・・人の心と紫陽花の色は移ろいやすいものです。花言葉もやはり「移り気」です。アジサイを漢名として紫陽花と書いていますが、アジサイは日本で生まれたもので、中国からの渡来品ではないことから、漢名として紫陽花と書くのは正しくないと牧野図鑑には記されています。「紫陽花」という字は平安中期の歌人、源順が白楽天の詩中にある「与君名作紫陽花」をアジサイのことと勘違いしたのが起源ということのようです。問題の「白氏文集」の紫陽花が出てくるのは文集巻第20の中に有ります。中国の杭州の招賢寺に、名前が不明の紫色の花木があり、それに白居易が紫陽花の名前を与えた。
何年植向仙壇上
早晩移栽到楚家
雖在人間人不識
与君名作紫陽花
現在もアジサイに紫陽花の漢名を使用しているわけですが、現在中国の本等ではアジサイは綉球科(八仙花科、虎耳草科)、綉球属(八仙花属)と表記しています。アジサイの仲間にはピンクや淡紅色、藤色など美しいものがありますが、これは江戸時代に日本にいたシーボルトが、アジサイの美しさに感激し、「ヒドランゲア・オタクサ」と愛妻のお滝さんの名をとってアジサイの学名にしたというエピソードがあり、彼がアジサイを母国に持ち帰り、それがたちまちヨーロッパに広がって、品種改良されて日本に里帰りしたもので、「西洋アジサイ」「ハイドランジア」などと呼ばれ、現在では多様の品種があり各地に植えられています。