青の伝説(67) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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五木寛之

もっとも「青」の似合う作家(小説家)は・・・

《五木寛之》1932年、福岡県八女市生まれ。「蒼ざめた馬を見よ」(昭和41年)で第56回直木賞受賞。

「その絵を見た時、一瞬はっとした。濡れた手で心臓を、ぎゅっと摑まれたような感じがしたのだ。ビキニの水着をきた少女のパステル画だった。決してうまい絵じゃない。色の使い方も変だ。だが、何かがあった。それはすぐにわかった。こっちの感覚のコンセントに、パチッとはまってくるものがある。『あとのやつはもういい』と、おれは言った。『これに決めたよ』こっちだって、絵の専門家じゃない。だから、美術的な善し悪しは言えない。しかし、それが使えるか、使えないか、商売になるかならぬか位はわかる。それは宣伝の世界で十年近く飯を食ってきた、PRマンとしてのおれの勘だ。『やっぱりそれかーー』と、おれのうしろで黒江が笑った。『だが、お前さんがそう言うのもわかるぜ。へたくそな絵だが、こいつには妙な魅力がある。ビキニの女の子を描く時は、誰でも陽にやけた褐色の肌に描くもんだ。ところが、この絵はそうじゃない。変わってるよ』」

《青年は荒野をめざす》作詞:五木寛之、作曲:加藤和彦、うた:ザ・フォーク・クルセイダーズ

ひとりで行くんだ幸せに背を向けて さらば恋人よなつかしい歌よ友よ いま青春の河を越え 青年は青年は荒野をめざす もうすぐ夜明けだ出発の時がきた さらばふるさとよ 想い出の山よ河よ いま朝焼けの丘を越え 青年は青年は荒野をめざす みんなで行くんだ苦しみを分けあって さらば春の日よちっぽけな夢よ明日よ いま夕焼けの谷を越え 青年は青年は荒野をめざす