螺旋物語(86) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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二枚あるモナリザ(ジョコンダとマグダラのマリア)、モナリザとレオナルド(自画像)、まるで二重螺旋の謎のようでもあり、ますます深みにはまってしまった。
《モナとリザ》
「モナ」は「夫人」(貴婦人の敬称)、「リザ」は「エリザベッタ」の愛称。フィレンツェ市民のフランチェスコ・デ・バルトロメオ・ディ・ザノービ・デル・ジョコンドの3番目の妻であったリザは、ジュリアーノ・デ・メディチ公の愛人でもあったと言われており、レオナルド自身もメディチ公の依頼によると述べている。これは「レオナルド・ダ・ヴィンチ伝」を書いたジョルジョ・バザルリのジョコンド夫人説に基づいている。
《モナリザの右手と左手》
右手と比べてみると左手にはスフマ-トの効果が殆ど現れていない。「物体の輪郭はそれの一部分ではなくて、それと接する他の物体のはじまりである。かくのごとく交換的に、何の妨害も無く前者と後者とは互いに輪郭となりあう。したがってこのような輪郭は、いかなる部分でもないのだから、何ものをも占めていない」という絵画論がスフマ-トに展開されたとするなら、輪郭線の判別出来ないその口元の表現はまさしくそれである。しかし、左手の描写にはグラッシの為に置かれたホワイトが、はっきりと輪郭線を成している。更にその人差し指に置かれたホワイトは、剥がれてしまったのか削り取られたようにもなっている。モナリザのこの左手の未完成は既に多くの人によって指摘されているところである。モナリザの両手は体の正面で軽く組み合わされているが、この上の方の手をよくみると、わざと大き目に描かれていることが分かる。これは立体感を出すための工夫で、遠近法について新技法を編み出したレオナルドならではのデフォルメと考えられる。