
ヨーロッパのホテルに行くと、レトロなエレベータを取り巻くようにして螺旋階段があります。伝統の建築を変えることなく、後でエレベータを無理矢理取り付けたという感じで、なんとも危なっかしい。しかし見ているだけで楽しくなる。そんなエレベータと螺旋階段が東京にあります。
《ロオジェ(フランス料理)》中央区銀座7-7-5
大きな重々しい自動回転扉からレストランに入ると、玄関ホールには、右手にソファを置いた小さなコーナーがあり、待ち合わせに利用することができます。入るとすぐ正面にレセプションがあり、ここで予約のチェックとコートや手荷物を預かってくれます。玄関ホールには小人数用のクラシックなデザインのエレベーターがあり、エレベーターの周囲には、螺旋階段があります。玄関ホールは床が厚手の絨毯で、インテリアは意外とシンプルですが、モダンで落ち着いた雰囲気です。1Fにはダイニングルームはなく、2Fのダイニングルームへ行くには、エレベーターか螺旋階段を利用します。白大理石を床に使い、黒い金属の曲線模様の手摺りのついた螺旋階段は、タイユバン・ロブションのシャトーのルイ王朝様式のクラシックなインテリアとは全く異なる独特の雰囲気で、曲線を描いたガラスの壁には照明が組み込まれ、壁全体が照明で光り、中央にはシースルーのエレベータの黒い骨組みが見えるという、モダンで近未来的でありながら、どこかアールデコ時代のレトロな雰囲気もする斬新なインテリアです。階段を上がるにつれて、「いったいダイニングルームはどんなインテリアなのだろう。」という期待を、いやがうえにも高めてくれます。
《凱旋門》
フランスの凱旋門は四角いイメージが強いのですが、やはり登るのは螺旋階段になっています。高さ約50メートル、272段の階ですから10階だてのビルくらいの大きさです。
《明石天文科学館》
科学館には天体望遠鏡ドームのための塔があります。展望台を兼ねいます。望遠鏡観測室のある屋上までは入れませんが、すぐ下の円形フロアまではエレベータで昇れます。そこまでの別ルートとして、塔の中心に巻きつく形で螺旋階段があり、緊急避難時に必要となる条件を満たすために考案されたものです。火災や地震が発生した場合、多くの人間が安全に降りられるように二重螺旋構造にしてあります。一方の階段は塔の中心である支柱に巻きつくように取り付けられ、もう一方は塔の外壁側に固定して取り付けられています。二重螺旋階段は、地震による変形にも強いと考えられます。