《発禁処分》
レバノン当局は、世界的ベストセラーとなっている長編ミステリー「ダ・ビンチ・コード」(ダン・ブラウン著)を、カトリック界からの苦情を受けて発禁処分としている。国内各地の書店は治安当局の指示に従い、フランス語版や英語版、アラビア語版を店頭から撤去。地元出版社も、同作品の今後の発行を禁じられた。同作品は、ダ・ビンチの素描に描かれた暗号が解読され、キリスト教の根幹を揺るがす闇の歴史が浮かび上がる、というストーリー。発禁処分は、レバノン・カトリック情報センターの批判が引き金になったとみられている。同センターの関係者はロイター通信に対し、キリストとマグダラのマリアが関係を持ち、子どもをもうけたとするくだりが「フィクションと言えども受け入れ難い」とコメント。また、様々な宗教や宗派が存在する同国で、宗教を侮辱する内容の文章が法律で禁じられている現状を指摘した。ただ、首都ベイルート市内の書店関係者は「この本がフィクションだということは、誰もが知っている。読みたい本を読むことは許されるべきだ」と述べ、今回の処分が「検閲」であるとの見方を示している。