螺旋物語(47) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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むかし、弾丸は回転しながら飛んでいる。銃身に螺旋の溝がつけてある。ということを聞いたことがあります。そこで調べてみました。
《ライフルRifle》
ライフル銃は、一つだけの弾丸を正確に照準点に命中させる為の銃です。銃身によって飛行方向を与えられた弾丸も、種々の要素が重なって弾道は不規則なものとなりますから、それを最小限度に止める為に、弾丸に回転を与え、ジャイロ効果を持たせています。これにより、弾道は飛躍的に規則正しいものとなり、命中精度が向上します。弾丸に回転を与える方法は、銃腔内にある角度を持つ溝を設け、この螺旋状の溝に弾丸の 弾体を食い込ませることにより、回転を与えるのです。この弾丸に回転を与える為の螺旋状の溝を本来ライフルと呼びますが、現在では、この溝を持つ銃を単にライフルと呼ぶことがあります。そして、本来のライフルにはライフリングと言う語を当てています。ライフリングは2本以上、多いものは十数本など、数が種々異なるほか、角度・回転方向・形状等も、銃により種々に異なっています。通常、ライフル銃は装薬銃についての総称ですが、広域には、空気銃・圧縮ガス銃もライフリングを持つものについてはライフルであるわけで、英語でエア・ライフルというのはこれによっています。ライフリングはこの弾頭底部の後退運動を防止し、弾丸の中心軸と弾丸の飛行軌跡を一致させ、高い命中精度を弾丸に与えるものです。ライフリングにより急速な右回転を与えられた弾丸は、頭部を弾丸の軌跡の周囲に螺旋を描くように回転させながら飛翔を始め、やがては頭部の振りは小さくジャイロのように安定した回転になり飛行します。弾丸の回転状態を決定するのはライフリングのピッチであり、これは銃身のツイストと呼ばれます。
《アーチェリー》
ハネ(Vane)には空気抵抗を作る役目があります。しかしそれはアーチャーズパラドックスを制御したり、安定した弾道を確保するだけではなく、もうひとつ大きな目的があります。それは矢にシャフトの長さ方向を軸とした回転を与えることです。 意外とアーチャーは気付いていませんが、この矢の回転こそがアーチェリーの的中精度の高さを維持するのに大きな役割をはたしているのです。たとえばピストル銃で30mも離れれば人間の大きさに的中させることはよほど熟練した技術を持たなければ、非常に難しいでしょう(アーチェリーでは簡単なことですが)。ところがライフル銃であれば300m離れても心臓を撃つことができます。これは確かに銃身の長さや弾丸の形状、その他理由はあるのですが、その中でも大きな理由がライフル銃には「ライフル(Rifle:旋条)」と呼ばれる溝が銃身の内側に螺旋状に刻まれていることです。この溝が発射時に弾丸に回転を加えることで、弾丸の飛翔に大きな安定をもたらすのです。それに対してピストル銃(ピストルにもライフルが刻まれたものもありますが、ここでは溝のない銃身の短い銃を指しています)の多くは弾丸が安定した回転を持たずに飛翔します。このことは飛翔距離が短かければさほど問題にはならないのですが、ライフル銃で使用するような長い弾頭を持つ弾丸で、放物線を描くような距離を飛翔する場合には、この回転がなければ著しい的中精度の低下を招くばかりか、途中で弾頭自体が反転してしまうことになります。この安定を「独楽(コマ)の原理」や「ジャイロ効果」と呼びます。回転する独楽が真っ直ぐ立っていられるように、回転は安定をもたらすのです。高い的中精度を誇るアーチェリーにおいても矢は飛翔中に回転しています。ただライフル銃と異なるのは、弾丸の回転が外部の溝から与えられるのに対して、矢はそれ自身の付属品であるハネから回転を発生させている点です。とはいっても矢自体が推進装置を持つわけではなく、矢は弓から与えられたエネルギーをハネの空気抵抗によって回転運動に置き換えているのです。アーチェリーの場合、ハネはどのように空気抵抗を回転に換えるのかといえば、それは単純に船のスクリューや扇風機のハネと同じ原理です。そのために矢を作る時は、取り付けるハネに「ピッチ(Pitch)」と呼ばれる傾きを付けます。これによる空気抵抗の大きさが回転を生み出すのです。
《フローターサーブ》
バレーボールでサーブを打つ時に手全体で打つのではなく、手のひら(指意外)を使って打つと無回転になって、空気抵抗を受けやすくなり予測できないような変化をします。無回転のサーブをフローターサーブと言います。それに対して、弾丸回転のドライブサーブは一見凄く感じますが、速さになれるとレシーブしやすいサーブでもあるわけです。
《ラグビー、アメフト》
あの卵型ボールを遠くへ確実にパスするには、回転を与えて投げているのをご存知ですよね。