細菌の螺旋力は科学的な研究ですが、古代より「注連縄」のパワーは理屈抜きに感じてきました。
《注連縄》
俗と清(聖)との結界を表す為に張るものです。細い物は「小舞縄(こまいなわ)」太い物は「荒縄」です。この他にもまだ種類があります。神社ではこれら多くを注連縄(しめなわ)といい、 太さや紙垂(しで・白い4つ折の紙のこと)の大きさは、結界を張る対象物とのバランスで決めます。縄をなう向きがとても大切です。縄には、綯(な)う向きにより、左綯えと右綯えの2通りがあり、左綯えは時計回りに右綯えは逆です。
左綯え・・・時計回り、天上にある太陽の巡行、火(男性)
右綯え・・・反時計廻り、太陽の巡行に逆行、水(女性)
神社においては、天上にある太陽の巡行に由来するものが多くあります。注連縄の張り方もこれに準じている訳です。これを左旋(させん)といいます。東辺から南を巡り、西を回って北を通って元にもどってきて、この角で結ぶ訳です。いわゆる鬼門と呼ばれている北東の角になります。ここが起点となり終点となります。太陽は「火」であり、男性を表しますから、水に関係するものは、逆行するのが基本です。これが右旋(うせん)です。「水」は月であり女性を表します。
水で女性というと、洗濯機を連想します。 これも、注連縄を張る向きと同じで、渦の向きが実は大切な役割を果たしています。決まりというものが我が日本においては、神話の世界から定まっています。 不思議と右回りの渦の時の方が、汚れがよく落ちるのだそうです。
四国の鳴門の渦潮の向きは、水ですから右旋です。天気予報で台風の渦を見てください。水ですから同じ向きです。ただ日本の神話の世界の話ですから南半球の渦は逆行します。赤道を境にする訳です。南極が字の如く、極となる訳です。縄においても、裏鬼門である西南を基点として張るのが筋となります。
線香の火を渦にしたことは、神秘に通じる発見だったのです。ですから、発売元の金鳥は、この蚊取線香の大ヒットにより、左前になっていた会社が持ち直して、今日の繁栄につながったと聞いています。蚊をやっつけたい時、線香の火の向きを左旋にすると、裏返しに置いたときよりも、不思議とよく効くのです。効能や成分は同じなので、もうこれは、不思議という表現より他に何もありません。
他に火の渦では、宇宙の世界、天体観測をしている方なら、すぐお気付きになられると思いますが、銀河系の渦がこれです。また、焚き火をした時に、よく炎をご覧下さい。左旋しているのが判ります。さて、このように、日本の神話は、宇宙の神秘も穿っているといわれている理由が20世紀になってはじめて、実際に科学的に証明されて来た事柄を、既に日本神話では指し示しています。(唐松宮司さんの話より)
《奥沢神社の大蛇》東京都世田谷区奥沢5-22-1
東急の自由ヶ丘駅から歩いて数分の所にある奥沢神社です。室町時代に奥沢城主大平出羽守によって勧請されたと伝えられています。ここの鳥居に飾られている注連縄は、前年に拝殿に祀られていた厄除けの大蛇です。江戸中期の宝暦年間(1751~1764)に、ここ奥沢に疫病が流行したとき、村の名主の夢枕に八幡大神が現れ「藁(わら)で作った大蛇を村人がかつぎ、村内を巡行させるとよい」というお告げがありました。早速、ワラで大蛇を作り村中をかついで巡(めぐ)るとたちまちに疫病が治まったそうです。現在でも福島県の農家から小型トラック1台分のワラを譲り受け、毎年9月の第1日曜日に氏子が集まって作られ、9月14日には氏子によって町内を練り歩いているそうです。1984. 5.31(昭和59)この行事は世田谷区の無形民俗文化財に指定されています。大蛇はおおよそ長さ10メートル、直径25センチ、重さ150キロもあるそうです。
《鼻緒づくり》
二本の麻紐を芯に、幅4cm・長さ60cmの布でこより状に縒ります。そうして出来た紐を、真ん中を中心にして左綯いで綯います。ちなみに草履の芯になる縄は右綯いです。一般的な草履の場合、鼻緒は布や藁などで綯った縄状のものが多いようです。