レオナルドの研究ではないが、螺旋に何かエネルギーというかパワーを感じる。それを螺旋力と呼びたい。
《細菌の鞭毛》
むずかしいことはわからないが、細菌の鞭毛についての文章を見つけたので紹介しておこう。
微生物には、ミリサイズの線虫から、ミクロンサイズの細菌などがあるが、推進速度のレイノルズ数が1以下と非常に小さいことから、推進機構には、抵抗力が利用されている。細菌も鞭毛を用いて運動するが、精子の鞭毛のように構造を持ち屈曲するものでなく、螺旋形の高分子重合体が菌体のべん毛モーターによって回転することによって、水中を運動する。そのため、細菌の場合を、べん毛と記すことによって区別することがある。Kellerらは、細菌を、球形の菌体と1本の螺旋曲線のべん毛からなるとモデル化し、抵抗力理論を適用した。回転するべん毛によるトルクを打ち消すために、菌体が逆回転し、その結果、細菌は螺旋軌道を描きながら推進することを示した。このような鞭毛の研究に関する展望が、Lighthillや、Brennenらによって行われた。
さらに、細菌の大きさと形の形態的分類:球菌(連鎖球菌・ブドウ球菌・双球菌)・桿菌・螺旋菌というのがあるらしい。
固定子、回転子、反転制御装置、軸受け、自在継ぎ手、スクリュー。船を動かそうと言うのではない。この直径30nmのモーターで動くのは、1ミクロンの体に長さ10~15ミクロンのべん毛を持つサルモネラ菌だ。1974年、アメリカで発見された細菌べん毛の回転モーター機構は、人工モーターに似たその構造とともに人々を驚かせた。しかし、さらに驚くべきはその能力で、回転数は1分間に2万回、消費エネルギーは10-16W、そして、エネルギー変換効率はほぼ100%。人工物を凌ぐ高効率モーターの仕組みが、今、難波氏の率いるグループの研究によって明らかになりつつある。(大阪大学大学院生命機能研究科教授・難波啓一氏)http://www.nanonet.go.jp/japanese/mailmag/2003/011a.html
すごいですねえ。私の感じていたまさしく螺旋力が細菌の世界にあることが、最近?わかってきたのです。
《Helicobacter Pylori》
ピロリ菌は胃の粘膜に生息している螺旋の形をした細菌。ヘリコバクターの「ヘリコ」は、螺旋形(ヘリコイドhelicoid)から命名されていて、ヘリコプターの「ヘリコ」と同じ意味。一方の端に鞭毛(べんもう)と呼ばれる毛が4~8本付いていて、活発に運動する事が出来る。胃には強い酸(胃酸)があるため、昔から細菌はいないと考えられていた。1983年、オーストラリアのワレン&マーシャル医師が胃の中に生息している事を報告した。その後のさまざまな研究から、ピロリ菌が胃潰瘍などの病気に深く関わっている事が明らかにされてきた。胃には、強い酸(胃酸)があるため、通常の菌は生息できない。ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素を持っている。この酵素を利用すると、ピロリ菌の周辺をアルカリ性の環境にすることが出来るので、胃酸を中和することによって身を守っている。
このピロリ菌も人間には有害なんですが、すごい螺旋力ですね。
《スピロヘータ》
螺旋形の細菌を総称する。
トレポネーマ属 Treponema・・・細かい螺旋をもつ。梅毒、フランベシア、ピンタの病原体が含まれる。
ボレリア属 Borrelia・・・粗大な螺旋をもつ。回帰熱およびライム病の病原体が含まれる。
レプトスピラ属 Leptospira・・・緩やかな螺旋をもつ。ワイル病の病原体が含まれる。
キャンピロバクタ- Campylobacterもスピロヘータの一種である。