螺旋物語(36) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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《ア・バオ・ア・クー A Bao A Qu》
「ガンダム」にア・バオ・ア・クーという宇宙要塞が登場した影響で、有名になった妖獣。インドのラジャスターン州ウダイブル郡チトールにある「勝利の塔」に生息する。「勝利の塔」は屋上のテラスまで通じる螺旋状の階段があり、このテラスにたどり着いたものは涅槃(ねはん)に達するという。ア・バオ・ア・クーはこの塔の階段に生息し、「勝利の塔」に登ろうとする人間がいると目を覚まし、その体を青く光らせ半透明に近い皮膚を動かして、階段を登り始めた人間の踵にくっつき、螺旋階段の外側を共に登り始めるという。その人間が一段登るごとにア・バオ・ア・クーはその体色を強くし、輝きを増し、その姿を完全なものとしていく。もしその人間が途中で降りてくるようなことがあれば、その体は不完全なものとなり、体色と輝きは色あせ、絹のすれる音のような小さな悲鳴を上げて最初の段に転がり伏すという。ア・バオ・ア・クーは体全体でものを見ることができ、触れると桃の皮のようだともいわれている。今まででア・バオ・ア・クーがテラスに達したのは一度だけといわれている。
《勝利の塔①》
1993年ユネスコ世界遺産の文化遺産に登録<デリー南部にクトゥブ・ミナール(勝利の塔)がある。トルコ系のムスリム (イスラム教徒)で、デリーに奴隷王朝を創始することになる将軍アイバクは、破竹の勢いでインド北部を征服すると、その勝利の記念にクッワト・アルイスラム・モスクを建設した。これは「イスラムの力」を意味する、インド最古のモスクである。建設にあたって、アイバクは戦闘用の象を使い、27のヒンドゥ寺院やジャイナ寺院を取り壊した。次いで、クトゥブ・ミナールとよばれるミナレット、奴隷王朝のクトゥブッディーン・アイバク〔在位1206年~1210年)がデリー征服の記念として1199年に建造を開始して彼の後継者、イールトゥートゥミシュが完成したものである。力強い造りとコーランの章句や建立・改修した王侯の名を紋様化した外壁の彫刻は大きな魅力を持ち、今なお人々を引き寄せている。5層からなるこの塔は各層の間にバルコニーがあり、内部のらせん階段を379段登ると見晴らしのいいバルコニーに出られるようになっている。
《勝利の塔②》
インドのラジャスターン州ウダイプル郡にあるチトルガル(チトール)は、古代ラジュプート族の要塞の地として名高い。この地にあるジャイナ教の寺院や塔のなかで、十二世紀に建てられた「名声の塔」、そして十五世紀に建てられたジャヤ・スタンバ「勝利の塔」がとくに有名である。ちなみにジャイナ教の語源はサンスクリットで勝利・征服者の意」。メーワールの王クンバによってチトルガルに建てられ「勝利の塔」 と誤称されてきたキールティ・スタンバもある。