青の伝説(64) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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青芥子

《青い薔薇》現在栽培されているバラは、世界各地の野生種のバラ数種を人為的に交配するという品種改良によって作られています。四季咲きのバラや黄色いバラも、育種家の情熱と英知により、生み出されました。青いバラは、過去800年の品種改良の歴史の中で、多くの育種家が挑んできた夢でした。青いバラの開発はこれまで成功しておらず、英語では、「不可能」の代名詞とも言われていました。「最先端のバイオテクノロジーの遺伝子組換え技術を用いれば可能になるはず」。これが夢への挑戦の始まりでした。以来、14年の年月を経て、ようやく開発の成功をご報告できる運びとなりました。青色色素が花びらに存在する、正真正銘、世界初の青いバラの誕生です。(サントリーhttp://www.suntory.co.jp/company/research/blue-rose/より)この青い薔薇を作るために多くの方々が自らの人生を傾けてこられたと聞く。その行為そのものが「伝説」なのかもしれない。ただ、サントリーが作り上げた青い薔薇は、一つの到達点であると同時に通過点のように思える。

《青い芥子》meconopsis betonioifolia メコノプシス ペトニキフォリア、学名:Papa veraceae Meconopsis ケシ科 メコノプシス属、英名:Blue poppy ブルーポピー。属名は、ギリシャ語(ラテン語)のmecon(ケシの意)とopsis(似るの意)からなり、「ケシに似る」という意味で表現され、アヘンをふくむケシは(ケシ属)に属し、青いケシ(メコノプシス属)からはアヘンは取れません。メコノプシスは、北半球に約60種類自生する芥子科の耐寒性多年草。主にヒマラヤ~チベット~中国(雲南省・四川省)に自生している。花期は現地では六~八月の雨の多い時期。青い花を咲かせるケシはメコノプシス属ベトニキフォリアなど9種、5000mの高地に咲くメコノプシス・ホリデュラはピンク色系と白色系も存在し、又、黄色系のメコノプシス・カンプリカもある。この青い芥子に魅せられて、遠く高いヒマラヤへと向かう人々がいる。厳しい高山の青い天空近くに可憐に咲く、まさしく「伝説」とも言える青い芥子の花をそこに見ることができる。

《青い蓮》専門家によると「Blue Lotus」青い蓮というものは存在しないという。緑の混じったのもはあるらしいが、青なら「蓮で」はなく「睡蓮」だろうという。「蓮」は夏に花を咲かせるスイレン科の多年生水草で、インド・中国・オーストラリアの原産。日本へは古い時代に中国から伝わったとされている。蓮華(レンゲ)、蓮根(レンコン)、蓮根(ハスネ)、蜂巣(ハチス)等、部位によっても色々と別名の多い植物で、葉には利尿、止血、解熱作用が、果実には利尿、通経、強壮作用、種子には強精、強壮、鎮静作用などがあり、漢方薬としても用いられる。組香にも用いられている「ハチス」の名称は「蜂巣」の意味で、花の終わった後に実がついている部分が蜂の巣にとても似ていることから付けられた「蓮」の古名である。「Blue Lotus」は古代エジプトでは「神聖」なる花として扱われており、ツタンカーメンの亡骸も覆われていたらしい。http://www.touregypt.net/featurestories/lotus.htm

植物の世界においても、青色の花は多くない。日本の「青い薔薇」・ヒマラヤの「青い芥子」そしてエジプトの「青い蓮」、地球上を横断する異なる地域環境にありながら、いずれも青は「伝説」なのである。そう言えば、青(藍)染料もそれぞれの地域の植物から採取されてきた。