螺旋物語(33) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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「竜頭」と書いて「りゅうず」と読むと、やはり「時計」をイメージする。私は腕時計を1つだけ持っているが、それは父親から貰い受けた竜頭巻きのものである。竜頭をキリキリと巻く感触が好きである。
《龍頭観音》
三十三身の中で天龍夜叉身を表し、雲中の龍の背に乗る。人々の救済のために臨機応変に姿を変える三十三身にちなんで考えられた。三十三とは宗教的な数字で、古代インドの神話『リグ・ヴェーダ』では天界・空界・地界に各十一神を配当し、主神を三十三神とした。そしてこれが仏教に受け継がれ、須弥山の上に三十三天があり、そこに帝釈天など三十三の神が住むとされた。三十三観音にもこうした数観念の影響があると考えられる。三十三観音をまとめた最初の本は、天明三年(一七八三)に刊行された『佛像図彙』。三十三観音の中には楊柳・白衣・青頸・阿摩堤・葉衣・多羅などインドに起源を持つもの、水月・魚籃・蛤蜊・馬郎婦など中国の観音信仰から生まれたものもある。
《竜頭》
ゼンマイを巻き上げるためのパーツ。時計によっては時刻・カレンダー合わせの機能も持っている。竜頭にはブランドロゴが刻印されている場合が多い。欧米では「クラウン」と呼ばれているので王冠のイメージなのだろう。さて、何故「竜頭」と呼ばれるようになったのだろう。
《梵鐘》
時を知らせるために打つ大型の鐘。「梵」とはサンスクリット語のブラフマン(brahman)の音写で神聖・清浄を意味し、神聖な仏事に用いるところから「梵鐘」と称される。俗に釣鐘(つりがね)と呼ぶほか大鐘(おおがね)、突鐘(つきがね)、洪鐘(こうしょう)、鯨鐘(げいしょう)、華鯨(かげい)などの別称がある。銅と錫の合金で鋳造するがまれには鉄製もある。また上部に多数見られる突起は乳(ち)といい、音響効果を高める働きをする。上端には竜の頭をかたどった竜頭(りゅうず)と呼ばれる釣り手があり時計のリューズはここからきている。時を知らせる梵鐘の「竜頭」が、時計の「竜頭」とされたのは興味深いことである。
《飛竜頭》
京都では、雁もどきのことを「飛竜頭(ひりょうず)」または「飛竜子(ひりょうず)」と呼び、大阪では「ひろうす」の名で呼ぶ。ひりょうずの語源にも2説ある。一方はポルトガル語のフィリオース、つまり牛肉・卵・小麦粉・バターなどをこねて丸め、油で揚げたものだが、日本の雁もどきがそれに似ているため、その名を借りたというもの。発音から飛竜頭・飛竜子の字を当てたものと考えられる。もう1方は、無造作に丸めて揚げた形が竜頭に似ているからだというが、この説は少しこじつけが過ぎるがなかなか興味深い。
《二竜神》
古代インドでは、「太陽の黄道」と「月の白道」の2つの交点に竜頭(ラゴ)と竜尾の2竜神が住み、時々太陽や月を食べると考えられていたそうだ。このラゴウ・ケイトの二惑星はインド起源で、七曜(七星)に加えられ九星となったという。
《竜頭蛇尾》
頭部は竜で、尾は蛇である意。初めは勢いがよいが、終わりは振るわないこと。詳しいことはわからないが、「虎頭蛇尾」が正しいとのこと。