螺旋物語(31) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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「玄武」では「亀」と「蛇」の関係を調べましたが、「亀」と「龍」の関係を調べてみたいと思います。
《竜宮城》
浦島伝説に登場する「竜宮城」ですが、肝心の「龍」を見たことがありません。「竜宮城」を調べますと、深い海の底にあって竜王が住んでいるといわれる宮殿、日本では浦島太郎の説話でよく知られている、竜宮、海の都、竜の宮とあります。
竜王は如意宝珠か、それに相当する「願いを叶える」アイテムを持っていて、竜宮に至った者はそれを授かり、富を得る。「今昔物語」に、既に竜宮の出てくる話がある。蛇を救って放してやった男が、その化身である乙女に誘われて池の底の竜宮に行く。そして、彼女の父である竜王から少し残しておけばいつまで経ってもなくならない金の餅(金塊)をもらい、それで一生安楽に暮らしたという。
「竜宮」の由来は仏教にあるという。仏典に竜宮の存在が記されていて、そこから中国、日本と浸透して行ったらしい。では、竜宮にいく物語そのものが仏典からのものなのかというと、そうとも言いきれないようである。仏教の浸透していない古い時代の中国の物語では、水の底には水神「竜神」、河伯がいて、同じように宝を与えたり娘を嫁に与えたりする。日本の神話でも、山幸彦は籠の目を詰めた籠船に乗って海神(ワダツミの神)の宮へ行き、海神の娘、豊玉姫と結婚する。昔からあった水神に豊穣を授けられる、水神と交わってそれを祖霊とする物語が、仏典に語られた類似の物語に倣って、水神を竜王に置き換えたのかもしれない。
《浦島伝説》
最古の記録は『日本書紀』の雄略紀にあり、また『丹後国風土記』逸文には、貴人である水江の浦嶋子と神女である亀比売(かめひめ)の物語として次のように記されている。
嶋子が海に船を出し釣りをしていると五色の亀が釣れ、その亀が女(亀姫)に変身し、嶋子を蓬莱山(常世の国)へと連れていく。嶋子はそこで亀姫と夫婦となり3年間暮らすが、ある日故郷に帰りたいと姫に告げる。姫は玉匣(たまくしげ)を嶋子に授け「私の元へ戻りたいと思うなら、この箱を開けてはいけない」と言い含めて送り出す。嶋子が故郷に帰ると、そこでは300年が経ってしまっており、途方に暮れた嶋子は約束を忘れ玉匣を開けてしまう。すると嶋子の若い肉体は風雲と共に飛び去ってしまい、嶋子は涙にむせびながら徘徊した。
紹介した画像は「丹後の伝説錦絵」です。http://www.arc.ritsumei.ac.jp/theater/maiduru/dgurashima.htm
《香川県三豊郡詫間町大字詫間》
仁尾町の家ノ浦に生まれた与作という人が、浦島の三崎(現在の生里)に来て住んだ家を新家(しんや)という。そこで小浜(現在の仁老浜)のおしもという美人をめとり、二人の間に太郎が生まれた。母に似て美しいうえに気立てのやさしい男であった。17、18才の頃、生里は風浪が荒いので、明神の里(現在の箱)に移り住み、浦島の各浦々岬々で釣りをし、魚をとって生計をたてていた。ある日、父の生家である家ノ浦へ行った帰り道、鴨之越の浜辺で亀をいじめている子どもたちに出会った。太郎はかわいそうに思って亀を買い取り、弱りきっている亀にキビの酒を飲ませ、元気がつくのを見て海に放してやった。さて、五月の朗らかなとある日、いつものように浦崎(現在の箱崎)の亀石(どん亀石)に乗って釣りをしていたが、不思議とその日は何にも釣れず、妙にぼんやりと一日を過ごしてしまった。沖の島々に炊煙が昇り、鳥もねぐらに帰る頃、薄暮の静かにかすむ海のかなたから大亀が現れて、驚き見つめる彼の目の前に近づいた。するとその大亀は、忽然として美女に変身し、過去の恩を感謝し、そのお礼に竜宮城へ案内することを告げるのであった。彼は竜宮城で3年間を過ごしたと思っていたが、その間に人間界では数百年が過ぎていた。郷里では村人たちにも忘れられ、父母は太郎の行方不明になった日を命日として、その冥福を祈りつつ寂しく逝ってしまった。世も人も、幾代か流れてしまった・・・やがて、遊びつかれた太郎は、そろそろ故郷が恋しくなり、乙姫に送られて帰ることになった。数頭の亀に七つの宝物を積んで、三崎に上陸するつもりが、潮流のせいで積の金輪の鼻に流れ着いた。長途の見送りや数々の贈り物にお礼を述べ、いつまでも別れを惜しんだ。やがて、乙姫は対岸の姫路から竜宮城へと帰っていった。さて、太郎は七つの宝物を七浦(大浜・積・生里・箱・香田・粟島・志々島)に贈り、長らく不在であったことを詫び、あいさつをするのであるが、村の様子も人々もみんな変わって、自分を知るものは一人もいない。「昔々そういう人がいたが、行方不明のまま帰らぬ」という古老の話を聞き、頼りなさ、やるせなさに打たれてしまう。太郎はうつろな目でなつかしの山や木石をながめ、海辺に在りし日の自分の姿を思い浮かべた。空虚な若さの身を不老浜(ぶろま、現在の室浜)によせ、そこで釣り糸を垂れながら、再び竜宮城をあこがれ、乙姫を恋い慕う想いに心閉ざされるようになった。玉手箱を抱えて何度か浦崎の亀石に腰かけ、大亀が再び現れるのを待ち祈った。ある日、粟島に大亀の死骸が打ち寄せられたと聞き、太郎はすぐ島に渡った。見ると、その亀はまさしく自分を竜宮城へと導いてくれた亀であった。太郎は、その骸をその浜(現在の亀戎社)に丁寧に葬り、霊を明神の里の大空にまつり、毎日ここに参詣した。さて、太郎は、亀も死に、乙姫との再会のきずなも切れてしまったので、ますますやるせなく、ついにふらふらと玉手箱を抱えて、父母の墓の前にきて、箱を開いてしまった。その瞬間、箱から白雲立ち上り、たちまち太郎は白髪の老翁となり、白煙は噴き上って、やがて夕日に映え、紫の雲となり、紫雲出山にたなびいたという。それから太郎は、わずかの身寄りを頼りに、母の里仁老浜に老を養い、わずかの後、もはや自分の命の終わることを知って、父母の墓前に来て永眠し、その霊は生前の徳によって昇天したという。http://www.town.takuma.kagawa.jp/rekishi.html