青の伝説(55) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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サマルカンド

《ブルー・サファイア》「その透明なことは、天体のようであった。」(「出エジプト記」)ギリシャ語で「青」(sapheiros)を語源とするサファイアは、あらゆる青の中で最も純粋で完璧な青です。地球の青。宇宙の青。神に最も近い石といわれるブリュー・サファイアには、人間の目には見えないモーゼの十戒が刻まれているといわれ、ローマ法皇や大司教の人さし指に飾られる石でもあります。ローマ法皇シクストゥス四世が亡くなった時に大きなブルーサファイアも一緒に埋葬されましたが、墓の番人がいるにもかかわらず民衆はひるむことなく押しかけて墓をあばきそのブルーサファイアを略奪してしまったそうです。いつの時代でも人間の欲望には限りが無く、深い悲しみさえもたたえた静かなブルーサファイアには、その絶望さえも超越した静かな強さがあります。ブルーサファイアは主にスリランカやタイなどの東南アジアの仏教国から産出されることから仏教徒にも尊敬をうけています。極上のブルーサファイアは「矢車草の青」(コーンフラワー・ブリュー)に喩えられる繊細な薄いシルクのレースをかけたような、柔らかな少し紫がかった濃いブルーが特徴です。また、この最高級サファイアはインド・ヒマラヤの北西部カシミール地方で産出されたことから、別名をカシミアン・ブリューとも呼ばれております。しかし、カシミール地方のブルーサファイアは残念ながら現在ではすでに掘り尽くされ、アンティークのオークションなどでしか目にすることはできません。ブルーサファイアは、カシミール産のほかにスリランカ、ミャンマー、オーストラリア、タイとカンボジア国境のパイリン産などがあり、色もロイヤルブルーやインディゴブルーなどじつにさまざまな青があります。ブルーサファイアは鉱物学的には、ルビーと同じ酸化アルミニウム(アルミナ)の結晶であるコランダム(鋼玉)に属します。実際には、コランダムのなかで赤いものはルビーといい、それ以外の色のものはすべてサファイアと呼ばれます。ブルー・サファイアには酸化チタンが1.09%程度含まれておりルビーとは違った色になります。青と赤ではあまりにも色が違いすぎるため長い間まったく別の石であると信じられていましたが、1783年フランスの鉱物学者ロメ・ド・リールが同一のものでああると発表しました。コランダムは多色性の鉱物で様々な色のものが存在します。ですから一般にサファイアというのは正確ではなく、ブルー・サファイアというのが正しい名称です。石言葉=慈愛・誠実・徳望、色=多様な色相の青、誕生石=9月、星座=牡牛座・牡羊座、原産地=ミャンマー・スリランカ・タイ・オーストラリア・インド等、成分=Al2O3+TiO2+Fe2O3(酸化アルミニウム・酸化チタン・酸化鉄)、比重=4.00、複屈折率=1.762 ~ 1.770。

《サマルカンド・ブルー》青の都」「イスラム世界の宝石」「東方の真珠」などと呼ばれる。約2500年前にソグド人が築いたオアシス都市。アレキサンダー大王、ペルシャ、蒙古などの攻撃の度に興亡を繰り返した。現在の街はチムールが築いたもので、チムールの好んだ青色のタイルを基調にした霊廟、モスクで美しい。チムール以前の都市の痕跡は、チンギスハンにことごとく破壊され残っていない。アラル海へ注ぐ二本の大河に挟まれたその土地はソグディアナと呼ばれ、往古より幾多の民族が興亡を繰り返した歴史の積み重なる場所である。ソグディアナとは「ソグド人の土地」を意味し、商才に長けたソグドというイラン系の民族が砂漠の中のオアシスに幾つかの都市を築き、紀元前の昔から豊かな暮らしを送ってきたといわれる恵みの土地であった。ソグディアナは、大きく言えば中国の西、インドの北、そしてペルシャの東に当たる地にあり、古代より後世シルクロードと呼ばれる交易路が、そこを東西に貫いていた。サマルカンドは、そんなソグディアナのオアシス都市の中でも最も有名で、そしておそらく最も美しい都である。