青の伝説(24) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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色

《字源・語源》■赤 この字は上の部分は土ではなく大人の大の部分のことで、下の部分は火をあらわします。つまり、大人の股の部分に熱い何かの火が燃え上がることを意味します。赤とは明けるという言葉からきていると言います。夜明けの明るい太陽や空をイメージできますが、実際はもっと根本的に物事が明白になるという意味を含んでいます。日本で最古の色は白・黒・赤・青と言われますが、赤は暗いを意味する黒の反対色であり、同じように黒の反対色である白とは元は同じだったと考えられています。赤のイメージと言うと明るいと言うよりは火の色や血の色を我々は連想します。しかし日本の固有色名にはそのような物騒な名前よりもいたって平和な植物等を連想する名称が多いようです。赤の原料としては顔料としての朱・弁柄・鉛丹・臙脂綿・艶紅と染料として紅花・茜・蘇芳等があげられます。また色名が、その色の原料名からとられることが多いのは洋の東西を問いません。赤紫に関しては日本では赤のカテゴリー、西洋では紫のカテゴリーに入れることが多いようです。青 青の象形文字をみますと、上半分は植物の形で、下半分は丼のような形になっています。丼は井戸の枠組みのようなものを作るが、枠組みではなく中身のことだよと内部に点を打って注意を促したものです。つまり、青とは、草木が井戸から水をくみ上げるがごとく、下の水脈から水を得て青々と茂っているその色を表します。ですから、元々は緑を意味していたのです。しかし、井戸の枠組みから掘り出されるのは水とは限りません。朱色の顔料となる硫化水銀などもそうなのです。ここから、丼のような形は赤色を意味する丹という文字になります。青の旧字「靑」には、青を意味しながら、赤を意味する丹と同居する矛盾があります。そこで、丹は水の精である月に置き換えられ、青という文字が出来上がりました。このことからも靑の下半分の丼は水源を表すことが明らかです。グリーン(青)に覆われた山々も遠方から望めばブルーに見えます。緑と青は同じ色で区別する必要がないということになるのかもしれません。語源は漠からきており、漠とは明と反対の意味です。つまりは赤系統の色以外を青と呼ぶということになります。また、暗い色と言う事では元は黒と同じだったとも考えられています。白・黒・赤同様最古の色名です。イメージとしては空や海や水を連想させますが、これらもある意味漠としたもので明確な実体がないものの代表です。ただし青にしても蒼・碧にしてもクールなイメージの寒色の代表です。色材としては、顔料として群青や紺青、染料として藍が使われます。特に藍色は外国人にとってジャパンブルーとして代表的な日本の色になっています。また、西洋のブルーよりも日本人の考える青の方が青紫に近いとも言えます。あおによし 奈良の枕詞です。「青い山に囲まれ、赤土(に=丹)」の奈良が美しいという意味と思われますが、古語辞典には「奈良坂のあたりから、顔料や染料にする青土(あおに)を産出した。」という記述があります。奈良とは奈良盆地なのですが、古代は、奈良市北方の狭い地域に限定されています。平らにして平均化することを「ならす」といいますし、平城と書いて「なら」と読んでいます。つまり、「青山四方に巡れリ」と表現される奈良盆地の、山の最も低くなった北方を奈良山や奈良坂と言ったのです。したがって、「あおに」は奈良山固有の特徴でなければなりません。赤土は奈良の各地に見られますので、古語辞典の方が正しいようです。ただ、青または緑の土を確認できていません。奈良側の露頭を見る限り赤土です。ある有名作家が、「奈良の都の建物が、青や赤に彩色されていて、その華やかさをいうのだ。」というようなことを書かれています。これは太宰少貳、小野老朝臣の「あおによし、寧楽のみやこは、咲く花の、にほふがごとく、今さかりなり」という歌から連想されたものと思われますが、額田王が飛鳥から近江へ移るとき、既に、「あおによし奈良の山の」と歌っています。この頃はまだ奈良の都は存在せず、飛鳥や近江が都でした。「あおによし」は、元々、奈良山の枕詞だったのです。黄 この字はもともとは火矢であるという。黄色は色彩の3原色にあげられますが、固有色名としては赤や青よりも新しいものと考えられます。中国の五行思想からの連想で考えると黄色は土の色になります。黄色の色材としては、顔料として黄土・雌黄・藤黄、染料として黄蘗・支子・欝金・刈安・槐・櫨・楊梅等があげられます。古代中国では尊重された色ですが、その後の中国や日本ではあまり良い評価を得ていません。緑 この字は緑青色の布を意味するそうです。植物の緑からの連想で緑色と呼びます。ただし、実際の植物はほぼ黄緑色のカテゴリーに属しています。色材としては唯一銅からとれる緑青があげられます。ただしほとんどの場合は、黄と青の色材を混合して使用します。英語では黄緑と青の間を鮮やかな色を表わす固有色名が多いのですが、日本では緑以外に目立つ表現がありません。白 著(しろ)し=明らか"が語源と言われています。つまり白は赤と語源が一緒という事です。かしら、しらしめす、しらべる。しる。全て頭に関係する語です。こう並べてみると、日本語の「しろ」は頭蓋骨の色から出たらしく思えます。しかし、白川静氏の主張するように、漢字の「白」が頭蓋骨の象形かと言えば、どうあがいてもそういう形には見えません。漢字を作った中国北方の民族と日本人では発想が異なるのです。白は一粒の穀物の形、米から出たのだろうという説があります。確かにそれらしくみえます。しかし、文字が作られた中国、黄河流域は米作地帯ではありませんし、時代も考慮すると、米をモチーフとする可能性は薄くなっていきます。中国西北で栽培され、白い穀物というなら小麦の方が有力です。小麦の実には真中に一本の線があり、ますますその感が強くなります。麦(バク)から白(ハク)が出たのです。ただ、小麦の実は縦線だということが問題です。説文解字に、「麦は金なり。金王にして生じ、火王にして死す。(秋に芽を出し、夏に枯れる)」とあり、五行の金徳の色は白ですから、麦と白は結びついています。文字は黄帝の臣、蒼頡が作ったといいます。「史記」は、「(黄帝の子)その一を玄囂といい、これを青陽となす。」と記し、「漢書 律歴志第一下」は、「考徳(書名)いわく、少昊は清という。清は黄帝の子、清陽なり。」と記していますから、黄帝の長子は清陽、玄囂こと少昊、金天氏です。この人は西方の神となり、西=秋=金=白虎に関連付けられています。人(ニンベン)に白を組み合わせた「伯」という文字が「長」を意味するのは、これを根拠とするのでしょう。白はどんな色にも染められる色の始まりです。柏も百木の長とされています。手をたたく「拍」も、元々は、最上のものに対して大きく手をたたく意味だったようで、魏志倭人伝には、「貴人を迎えるときはただ拍手するだけで、跪拝するかわりとしている。」とありますし、神社で打つ柏手も連想できます。迫は最も近づくことですし、舶は大きな船、船の長男と言うわけです。少昊氏(黄帝の長子=西方の神)との関係から、「白」は、貴い、大きい、(天に)近い、薄い(*/チベット高原)などの意味を含むようになったと考えられます。また、小麦は五穀の貴ともされています。白のイメージは洋の東西を問わず清純で汚れがないと言うものです。色材としては胡粉・鉛白・雲母の顔料が代表的なものとなっています。紫 これも単に紫色の布の意味。字源としては赤と青の間色という意味です。ただし3原色以外の色としてはかなり特徴的なものと言えます。昔は中国・日本・ギリシャ・ローマと洋の東西を問わず最も高貴な色とされてきました。染料としてプルプラ貝の貝紫や紫草の根である紫根があげられますが、西洋の貝紫よりも日本の紫根の方が、実際の紫色に近いようです。(貝紫は赤紫に近い)色 色という漢字は、中国の後漢時代に編纂された六義(象形、指事、会意、形声、転注、仮借)によると、人の後ろに人がいて、抱く形で相交わることを示す会意文字で、男女の情交を意味するという説があります。色の下、巴をひざまずく女性の形とする象形文字と解釈したようです。上が男性で下が女性、その手引きとなるものが容色つまり顔。そこから、色は容色の意味を持つようになる。その容色を豊かにしようとするために化粧が始まり、その後化粧料へ転ずる。そしてその彩り多い化粧料から、色彩一般を指すようになる。『うるわし』とは、うるおいのあるなごやかな美しさこの言葉から変化したもので、うるわしの“うる”とは心という意味を持ち、“うる”→“いる”→“いろ”というふうになったつまり、“色”は“いろ”(情)に通じていると言われている。彩 いろは歌、「色は匂えど、散りぬるを…」ではじまります。あでやかな容色、顔、形の美しさを言う色香を想像させますが、この色、諸行無常からくる、形、目で見えるモノをさします。カラーを意味する漢字と言いますと、彩が使われていました。古く中国では色彩のことを采(さい)、采は木の実を採取すること、それが彩に通じ、色や文様を意味するようになったようです。古来、色にはカラーの意味合いがなく、どちらかというと、万葉集に使われた、“いろせ”とか“いろね”のように、兄や姉の敬称のように使われたり、恋するものの呼び名として、使われていました。人を恋する言葉として使われていたのです。色不異空 「色(いろ)は空(くう)に他ならない」空不異色 「空は色に異ならず」色即是空 「色は是れ即ち空」空即是色 「空は是れ即ち色なり」灰 昔もこの字は灰を意味します。燃え尽きたもののことです。木が燃えた後の灰の色。白と黒の中間色で色の種類も多くあります。江戸時代には灰という言葉が嫌われてか鼠色という言い方もされました。黄色っぽいグレーが灰色で青っぽいグレーが鼠色という説もありますが、鼠の付く色は赤系統から青系統まで幅広くあまりその説もあてになりません。江戸時代の鼠色は百鼠と言われるほど流行し、四十八茶と同じようにオシャレな色と言う評価を受けていました。黒 この字の上の部分は煙突で下の部分は火を表すそうです。すすが出きるので黒い意味になったそうです。明けるに対する暮れる、もしくは暗しが語源と言われます。白や赤の対義語です。黒は闇をイメージしており、今のようにシックとかモダンな色として良いイメージに考えられるようになったのは最近の事と言えます。黒の色材は墨や煤であり、また木に含まれるタンニン酸鉄分によって黒く変化するという意味では、茶色のもっと暗い色とも言えます。玄 糸束をねじった形の象形文字です。この形で糸を染めるため,黒の意味を持ちます。色としては,真っ黒ではなくて,赤みかかった黒です。その色のイメージから,奥深い,しずか,という意味も生まれました。「にじ」は万葉集では「ぬじ」、日本霊異記では「にじ」とあり、池や沼の霊物・ぬし(主)の意味で、虹を恐ろしい霊物に例えたのであろうと言う説があります。しかし、他にも諸説あってどうも特定は難しいようです。漢字の「虹」の「虫」は「蛇」を、「工」は「貫く」ことを表しています。虹は蛇が空を貫いている様子です。ただし、蛇と言っても普通の蛇ではなく、龍の一種と考えられるようです。rainbowの語源は、雨(rain)と弓(bow)です。雨によってできる弓と言う意味です。でも虹は雨上がり、太陽の光でできるのにと思ったら、sunbowと言う言葉もあるんですね。滝や噴水で見られる虹のことだそうです。moonbowは?これがあるんです。月の光で見える、夜の虹のことです。月明かりですから光量が少ないので満月の頃、条件が良いと見えるそうですが、色は淡く白っぽいとか。ハワイのマウイ島には、見た人には幸せが訪れるという言い伝えのあるmoonbowの名所があるそうです。ついでに、starbowと言う言葉もあります。宇宙空間を光速に近い速度で航行すると見られるだろうと予想されている現象です。宇宙船が光速に近い速度で飛ぶと、光行差現象によって星は前方に固まるように見えるようになります。さらに、これにドップラー効果が加わって、結果として虹のように見えるのではないかと予想されています。でも、実際に人類が見ることができる日が来るのでしょうか?本当に七色?虹の色、本当に七色に見えますか?虹を七色だとした最初の人物はニュートンです。ニュートンも最初は五色としていたといいます。しかし、色によって幅が異なっているのが気になり、音階の7音と虹の色の幅を対応させるという仮説をたて、虹の色を無理に七色にしたのだそうです。日本やフランスは7色(赤、橙、黄、緑、青、藍、紫)ですが、イギリス、アメリカでは藍が抜けて6色、ドイツでは更に橙が抜けて5色と国によって色の数え方が違います。ニュートンを生んだイギリスが6色と言うのはおもしろいですね。

日 本 :7色 赤、橙、黄、緑、青、藍、紫

イギリス:6色 赤、橙、黄、緑、青、紫

アメリカ:6色 赤、橙、黄、緑、青、紫

ドイツ :5色 赤、黄、緑、青、紫

フランス:7色 赤、橙、黄、緑、青、藍、紫

副虹(ふくにじ、ふくこう)主虹(しゅにじ、しゅこう)の外側に、色の順が逆になった虹がもう一つ現れることがあります。これが副虹です。主虹が水滴の中で光が一回反射するのに対し、副虹は二回反射したものです。虹を虹霓(こうげい)と言いますが、虹が主虹で、霓が副虹です。ブロッケンの妖怪、霧や雲に覆われた山頂に太陽を背にして立つと、美しい光の輪(ブロッケンの虹)に囲まれた自分の影(ブロッケンの妖怪)が霧の中に見えることがあります。ドイツのブロッケン山でよくおこることからこう呼ばれます。このブロッケンの虹も太陽光を霧や雲の水滴が屈折させて起こりますが、ずいぶん複雑な現象のようです。オパール、「虹の宝石」と言われます。語源は、サンスクリット語で石を意味する「ウパラ」だそうです。アイリス(iris)アヤメ科アヤメ属の植物です。この名前は、ギリシャ語で虹を意味し、ギリシャ神話が深く関係しています。全能の神ゼウスの妻ヘラの侍女イリスは、ゼウスに求愛されますが拒み続けます。イリスの心に感激したヘラは彼女に七色に輝く首飾りをかけ、更に神の酒を3滴ふりかけ虹の女神に変え天上と地上と結ぶ使者としました。その時ふりかけた酒のしずくが地上に落ちてアイリスの花になったと言います。なお、iris には、眼の虹彩と言う意味もあります。目の瞳孔を囲む茶色の部分(日本人の場合)です。この濃淡等は2歳を過ぎると変化しなくなるそうです。そこで、個人認証への利用が研究されています。虹彩、指紋などによる生体認証技術のことを、バイオメトリクスと言います。L'arc-en-ciel (ラルク アン シェール)バンド名にありますね。LはLeのことで定冠詞、arcがアーチ、enは前置詞、cielが空、つまり、フランス語で虹のことです。the pot of gold at the end of the rainbow虹が地面に接するところに、金のつぼが埋まっていると言う伝説があります。しかし、いくら追いかけても虹が地面に接するところにはたどり着けません。ここから、かなわぬ夢をいいます。そして、rainbow chaserには空想家、夢想家の意味があります。