螺旋物語(24) | すくらんぶるアートヴィレッジ

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私の家は石川のほとりにあり、「臥龍橋」という橋が架かっています。全国に同名の橋は多くあり、その多くは龍が臥せているように見えることから命名されたようです。しかし、よくよく考えると川の流れそのものが「龍」ではなかったかと思います。大洪水で荒ぶる川は、まさしく「龍」でしょう。ふだんはやさしく「蛇行」して流れていますが・・・「滝」という漢字は「水の竜」ですね。
《日本の龍》
4~5世紀後期に渡来人によってもたらされた龍は日本でも全国各地の湖沼や河川の水にまつわる伝説として登場し、畏怖の象徴 宗教守護神として人々に信仰されるようになりました。その後、四神の観念が広まり、白虎、朱雀、玄武とともに、都城の守護神として、龍(青龍)が重視されるようになり,、また中国らしい龍の造形も伝わり、彫像や図像のモチーフとされました。特に仏教の興隆によって、仏法の龍は広く普及し、武具の装飾だけではなく、寺院建築や仏具の装飾にも使われるようになりました。しかし、日本の天皇は、中国のように、龍を天皇のシンボルにはしませんでした。中国の影響を受けながらも、その自性を主張しようとしたのかもしれません。大和王朝は、蛇を信仰し、太陽としての鏡をシンボルに用いたようです。現代では龍は日本人のイメージの中では十二支の一つや大衆文化を飾るデザインモチーフなどに登場するだけで、限られた存在です。
《中国の龍》
日本の龍と比べると中国の龍は現在でもかなり日常的に存在しています。中国の象徴として神化され、細かく分類され、さらに龍の親戚や子供まで作り出されました。
龍の分類
①龍(竜)は最高位の龍で全ての特性を備えている。
②蛟(みずち)は四本の足を持っており、大水を起こす。
③虹(こう)は雄で(げい)は雌である。共に天に登る。虹龍は雲に変じて黄
河の水を飲みに来るという。
④應(よう)も蜃(じん)も四本の足と翼があり、気を吐いて海市(蜃気楼)を見せる。
⑤「きゅう」。角だけ持っている。
⑥魑「ち」。角の無い龍である。森蔭などにいて人間に捕まりそうになると暴風雨を起こして逃げる。三本指。
⑦蟠(ばん)は最下位の龍で、天にも昇れない。

龍の親戚
①鳳凰、鳳(ほう)が雄で凰(おう)が雌である。鳥類の長。悟桐に棲み、竹の実を食べ、醴泉(甘露)を飲む。羽根は五色で、声は五声。朱雀(すざく)も鳳凰の一種といわれる。
②勝「とう」。鳥族であるが、むしろ龍に近いイメージもある。足は無く空を飛ぶ。雲霧を呼んでその中に身を潜めている。
③獰「そう」。一角獣に似ていて、翼を持ち、空を飛ぶ。
④斗牛「とぎゅう」。中国西内海に棲む龍。体に鱗を持ち、角を持つ。指は三本。風雨をあやつり、金や玉を好む。古代の装飾で柱に巻き付いている龍はこの斗牛が多いとも。
⑤肥遣「ひい」陽山に棲む龍。六本の足と四枚の翼を持ち、尾は二股に分かれている。干魃を起こしたりする。別の説では鶉に似ていて、その肉を食べると種々の病が治るという。