これまで、3回にわたって、”8ヶ月不安”を乗り越えること、”愛着形成””安全基地”を築くことについて書きました。
そして、これらは、”生きる力”の土台になります。
今回は”生きる力”について書きます。
さて、
今の子どもたちは、私たち現代の大人も含めて、"生きる力"が育っているでしょうか。
❤︎遊んでこなかったから、社会で役に立たない
一流の大学を出て、一流の企業に入ったエリートだけど、
なぜか、社会人として必要な能力がないという人がいませんか?
生きる力が育っていないんです。
このエリートなのに社会で役に立たないといった人々は、
生きる力が育っていないのです。
❤︎社会人として必要な能力とは
❶自ら行動する力
❷問題を解決するために考え抜く力
❸チームとして動ける力(コミュニケーション能力)
これらの能力がない人は
指示待ち人間、
挨拶ができない人、
辛いとすぐ辞めてしまう人になってしまいます。
"生きる力"とは"社会で生きていくために必要な力"
であり、
"生きる力"とは、"幸せに生きていくための力"です。
❤︎"生きる力"とは何か
それは、
❶自分を大切にする力
❷自分で考える力
この2つです。
❤︎生きる力が大切と国も考えている
国も、
幼児教育の指針の幼稚園教育要綱や
小・中の指針の学習指導要領に生きる力の大切さがしっかりと書かれています。
❤︎学習指導要綱における生きる力とは
「生きる力=知・徳・体のバランスのとれた力
変化の激しいこれからの社会を生きるために、
確かな学力、豊かな心、健やかな体の知・徳・体をバランスよく育てることが大切です。
また、
そのため、これからの社会を生きる子どもたちは、自ら課題を発見し解決する力、
コミュニケーション能力、物事を多様な観点から考察する力(クリティカル・シンキング)、
様々な情報を取捨選択できる力などが求められると考えられます。」
つまり、
生きる力とは、頭も心も体も健康で、自分から問題を見つけ、周りの人と協力しながら問題を解決していける力です。
❤︎幼児教育における"生きる力"とは
「乳幼児期は、生涯にわたる生きる力の基礎が培われる時期であり、
特に身体感覚を伴う多様な経験が積み重なることにより、
豊かな感性とともに好奇心、探究心や思考力が養われる。
また、それらがその後の生活や学びの基礎になる。」
つまり、
生きる力の土台を作るためにたくさん体を動かして、たくさんの経験をして”なんだろう”という気持ちを育てようということです。
たくさん遊んでたくさん心と体を育てようということです。
❤︎生きる力が育たない日本の教育
現在のところ日本では生きる力を育てるための教育が十分とは言えません。
そもそも、生きる力を身につけるためには、子どもが主体的に考える事が絶対に必要です。
こういった子どもの主体性を伸ばすという考え方は昔から言われています。
❤︎フランスのルソー
「むすんでひらいて」のルソーは、
”適切な環境を用意し、たっぷりと愛情を注ぎ、自由を与えれば、子どもは自然に伸び伸びと成長する。”
と唱えています。
ほかにも、
モンテッソーリ、フレーベル、シュタイナーも、
"子どもに対して教えるより子どもから引き出す教育が能力を伸ばす"
と説いています。
もちろん、
現在の学校教育に関わっている多くの人もこれは知っていますし、そうしようと努力しています。
❤︎一斉授業
一斉に同じ知識を試験のために教え込むことが中心です。
これでは子どもの生きる力は学校の中では十分には伸びていきません。
❤︎生きる力を育てる教育
日本では認可されていませんが、
サドベリースクールという先進的な形態の学校があります。
決まったカリキュラムは存在せず、年令によるクラス分けもありません。
子どもたちは学校で登校から下校まで自由に遊び、学びたくなった時に学びます。
「そんな学校じゃ子どもは勉強しないんじゃないか?」と思われるかもしれません。
しかし、
サドベリースクールではたくさん遊び、遊び尽くした子どもは、
今度は学習意欲が高まり、先生と話し合いをして、自ら授業を作っていきます。
つまり、内発的動機にもとづいた学習がはじまります。
子どもたちは、遊びを通じて”フロー(のめり込む)”に入りやすい体質になっており、
学習の効率は極端に高くなります。
例えば、
小学校6年間で教わる算数の内容は、24時間程度で身につけてしまうと言います。
子どもはやらされるのでなく、
自らやる気になった時に信じられないほどの能力を発揮するということです。
❤︎文字に興味を持ちはじめた3歳児
文字に興味を持ち始めた3歳の子どもに、カルタと五十音表を与えました。
そして、
子どもに聞かれれば「それは”え”だね」と答えてあげる。
それだけで、
すると、一月くらいの間に、
ほとんど文字を読めなかった子が、自分でひらがなを全部覚えてしまったのです。
カルタ遊びをしたい。そのためには、ひらがなを知らないとできません。
だから」、
自ら覚えようとすることで、スポンジのように吸収していったのです。
これは考えてみれば当たり前のことです。
❤︎子どもたちが自分で覚えようという力を伸ばせば、学力も自然と高くなる
サドベリースクールの例は極端にしても、
生きる力を育てる教育とは、
子どもが自ら考える力を伸ばす、子どもから引き出す教育です。
しかし、
日本の公教育は引き出す教育より、知識を教え込む教育が中心です。
❤︎この日本の教育事情で"生きる力を育てる"には?
できる限りたくさん子どもを自由に遊ばせ、
たくさんの愛を与えることです。
子どもは親からたくさんの愛をもらう中で自分が大切であると気づきます。
そして、自分のやりたいことにひたすら取り組む中で、
集中して考え
学ぶことを覚え
友だちと関わることを覚えるのです。
一方、現実には、
❶将来のためといった大人の”ため”に時間を取られています。
❷しつけのためという名目で自由を奪われ、考える力を奪われています。
❸学校では、一斉に知識を詰め込み、試験でそれを評価されることで、自分でじっくりと考える時間が奪われています。
❤︎生きる力を付ける方法はシンプル
小さいころから無理に勉強させる必要はありません。
特別な習い事も必要ありません。
子どもが、それをやりたいというなら、やらせてあげましょう。
なによりも、
スキンシップや言葉で沢山の愛をもらい、
自由な遊びをたくさん楽しめれば、
生きる力は自然とついていきます。
❤︎まとめ
生きる力とは、
自分を大切にする力と自分で考える力です。
生まれてから、お母さんの大きな愛に包まれることで、
安心して自分を大切だと思えるようになっていきます。
自分が大切だと思えた子どもは、
たくさんの遊びの中で、
夢中になれることを見つけ、
その中で自分で考えて問題を解決したり、
友だちと協力したりすることを学んでいきます。
これらが"生きる力"となります。
生きる力を身に着けた子どもは、
どんな時代が来ても自分で考え、
必要な知識を自ら学び、
友だちや大切な人を作って
幸せに生きていくことができます。
先の見えない今の時代の中、
私たちが子どもにできる一番の贈り物は、
ただ愛することです。
そして、たくさん自由に遊ぶ時間を作ってあげることです。
私たちは、自分の受けてきた教育が正しいと思い込みがちです。
しかし、学力を競う今までの教育では太刀打ちできない時代が目の前に迫ってきています。
個人が、いい学校を出て、会社に入れば一生安泰という時代が終わりました。
個人のためにする勉強では、限界があり、
みんなのために考え、一人ではなく、一緒に協働して勉強していくことが大切になってくると思います。
一人よりみんなと一緒の方が楽しいですね。