安全基地が、好奇心と生きる力を育てる | 学びスタジオ®︎ブログ〜教育あれこれ

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小さな個人塾を経営しています。「一緒に学ぶと、可能性が広がる」と考えています。教えるより、考えるように導きます。子どもと一緒に考えると、子どもが能動的に考えるようになります。そして、一緒に考える楽しさと、一人で考え抜く力を身につけていきます。

 

こんにちは、学びスタジオの奥川えつひろです。

前々回は、8ヶ月不安、前回は愛着形成について書きました。

今回は、安全基地について書きます。

 

♥誰が心の安全基地

子どもは、愛着の対象である両親を
"安全基地(secure base)"自分にとって安全や安心感を得られる拠点として利用しています。

心の安全基地とは、
子どもにとって不安になった時にそばにいると安心する人のことです。

主にお母さん、お父さん、
場合によってはおじいちゃんやおばあちゃんが、
心の安全基地になることができます。

♥心の安全基地という考え方

小さい赤ちゃんにとって世界は知らないことだらけです。
そのため赤ちゃんはすぐに不安になってしまいます。

不安になった時、
お母さんがその不安を優しく受け止めてくれると安心し、また外の世界に興味を持っていけます。

こうして赤ちゃんの不安を優しく受け止めていくことで、お母さんは赤ちゃんの心の安全基地となっていきます。

心の安全基地ができると、赤ちゃんは安全基地を起点にして少しずつ外の世界を探検していきます。

そして不安になったり、疲れたりすると心の安全基地に戻ってきて心を充電するのです。

赤ちゃんにとって世界は真っ暗な嵐の中を手探りで探検するようなものです。

そんな赤ちゃんの世界の中心でいつも明るく輝いている、安心できる暖かい家のような存在を心の安全基地です。

♥愛着形成とは

心の安全基地ができるにつれて、安全基地となる人(お母さんやお父さん)と赤ちゃんとの間に愛着が形成されていきます。

では、愛着の形成とは何でしょうか?

愛着の形成とは、赤ちゃんとお母さんとの心のつながりのことです。

この愛着の形成が、子どもの心の発達にとっては一番大切と言っても過言ではありません。

愛着が形成されていないと、赤ちゃんは世界に興味を持つことができません。

自分を愛することができません。

愛着の形成がうまくいかないと、将来本当にたくさんの弊害が出てくるのです。

愛着の形成は子育ての初期では最重要です。

♥物理的安全基地から心理的安全基地へ

赤ちゃんの不安を繰り返し優しく受け止めていると、その人は赤ちゃんにとって物理的安全基地になります。

物理的安全基地になると、赤ちゃんはその人に触れることで不安が解消されます。

知らないものや人に出会った時、お母さんに抱っこを求めてきますね。
それが物理的安全基地になっている状態です。

そして、
より愛着形成が進んでいくと、安全基地と赤ちゃんとの距離は広がっていきます。

その距離が広がっていくと安全基地となる人が目の前にいなくても、心にその人を思い浮かべることで安心できるようになるのです。
これを、心理的安全基地といいます。

 



♥心の安全基地はいつ頃できる

お母さんが物理的安全基地となるのは生後6ヶ月から8ヶ月頃です。

この頃になると”お母さんがそばにいると安心する”というように、お母さんは安全基地の役割を果たすようになってきます。

その反面、
お母さんがいないと不安な気持ちになるので、"8ヶ月不安"といった後追いの時期が来るのです。

♥8ヶ月不安を乗り越えると

子どもと心の安全基地との距離はどんどん開いていきます。

お母さんから遠く離れて探検ができるようになっていきます。

そして3歳頃、子どもはお母さんは”いつも自分を守ってくれる存在なのだ”と強く確信できるようになり、そのイメージがお母さんがそばにいなくても心の中に持てるようになります。

つまり、お母さんは3歳頃に心理的安全基地となります。

心理的安全基地が心の中にしっかりとできれば、
子どもはお母さんがそばにいなくても心理的に安心できるようになります。

大好きなお母さん(安全基地)との絆を胸に、様々なことに挑戦していくようになっていくのです。

3歳頃は自立への大きな一歩を踏み出す時期と言えるでしょう。

♥子どもの心の安全基地の作り方

子どもの心の安全基地となるためには、
愛着をしっかり形成すること。
子どもを愛することです。

しかし、愛するというのはシンプルなようで難しいですね。

ここで、覚えておいてほしい大切なことがあります。
愛情とは、子どもに与えるものではなく、子ども自身が親との関係性の中で感じるものだということです。

つまり、
どんなに「愛している、愛情を与えている」と思っていても、それを子どもが感じていなければ愛着は形成されないのです。

♥どうすれば子どもは愛情を感じるか

それは、”自分を見ていてくれる”と感じたときです。

自分が不安になった時、小さなサインでも気づいてそばに来てくれる。

自分がなにかに挑戦し、成功した時ちゃんと見ていて、一緒に喜んでくれる。
自分が何かを発見し、伝えたいと振り返った時、しっかり見ていて微笑んでくれる。

これらの何気ないことの繰り返しが愛着を形成していくのです。

愛着が形成されれば自然と心の安全基地はできていきます。
しかし、この心の安全基地づくりの大敵が現代には存在します。

♥現在、当たり前の子育ての光景

子どもを一人で遊ばせておいて、自分はスマホを見ている。

この現代では当たり前の子育て風景は、実は子どものたくさんのサインを見逃し、愛着形成の妨げとなっている可能性があります。

子どもが見ていてほしいと感じた時、そのサインに気づかなければ愛着形成はうまくいきません。

♥3歳までが大切

愛着形成に大切なのは、3歳位までの間です。
その3年が、子どもの大切な一生を大きく左右します。
その間だけでも、子どもが起きている間はスマホを横に置いておいて、子どもの遊びを見守ってあげて欲しいと思います。

きっと子どもの心に触れる感動的な体験ができると思います。

また、愛着形成にはスキンシップも非常に大切です。安全基地になるためには、子どもとできる限りたくさん触れ合ってあげてください。

♥まとめ。暖かな家のような安全基地

心の安全基地とは、愛着形成の中で、その人が側にいると子どもが安心できる人のことです。

子どもにとって世界は知らないことだらけで、子どもは不安な気持ちをいつも抱えています。

そんな子どもが安心するための心の中の灯火となり、帰ってくるとほっと一息つける、暖かい家のような存在となってあげてください。

子どもの心の安全基地となるには、
ともかく子どもをよく見ることと、スキンシップです。

そうして愛着が形成されていくと、自然と心の安全基地となっていきます。

愛着が形成され、心の安全基地ができることはその子の人生の基盤となるとても大切なことです。

ぜひ子供の心に寄り添い、安全基地となってあげてください。
 

 

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