【脚本 演出】
【出演】風間俊介、岡本玲、伊礼彼方
33年ぶりに、鴻上尚史さん作・演出の「トランス」を観ました。
33年前に観たときの記憶は断片的なのに、舞台が進むにつれて、当時の感覚が少しずつよみがえってきました。特に、まさとが天皇になって話す場面では、昔観た小須田康人さんのまさとの気配がふっと立ち上がってきて、不思議な感覚になりました。
改めて感じたのは、この作品が役者が変わっても、戯曲の面白さが違う形で立つ名作だということ。今回の3人もトライアングルがしっかりしていて、バランスがとてもいい。軽快な掛け合いの面白さと、ふと張りつめる緊張感が同居していて、舞台がずっと生きていました。
中でも参三役の伊礼彼方さんが圧巻でした。すさまじい熱量で場を転がし、笑いを取りながら、その奥にある傷つきやすさや繊細さもきちんと見せる。強さだけではなく、不思議な包容力があって、目が離せなかったです。
この作品の面白さは、現実と虚構の境界が少しずつ揺らいでいくところにもあると思います。見方が変わることで現実そのものが変わってしまう。滑稽さと怖さ、不気味さが絶妙に描かれてるなあと思います。
3人とも心の闇を抱えていて、誰か医者で誰が患者?皆んな患者か?
そして最後3人での語り。
あそこで身体からぞくっとしました。
あの語りにはある種の格好良さを感じます。これも鴻上さんの作品ならではと思います。
楽しいだけではなく、ぐっときて、興奮して、でも切なさやざわつきも残ります。
自分の青春時代の感情が呼び起こされるようで言葉にできない余韻が残り、
感情が強く残り続けてます。
今思い出すのは、屋上のシーンです。
ありのままのそれぞれを受け止めて、何かあったらそばにいてくれる。そんな3人の関係が、とてもいいなと思いました。
観終わったあとも余韻が消えない。
考えというより、感情が残っている。
軽やかさやユーモアの奥に、言葉にしきれない感情が沈んでいて、それを抱えたまま劇場の外へ出ると、ロビーも熱気にあふれていました。
一昨年観た、「朝日のような夕日をつれて』同様、今回もまた、しばらくこの感情を引きずっていくのだと思います。
