【作 演出】鴻上尚史
【出演】大高洋夫、小須田康人、長野里美、山下裕子、筒井真理子(映像出演)、中山優馬、飯窪春菜、小松準弥、安西慎太郎、渡辺芳博、内田智大、大城智哉
第三舞台2026『パレイドリア』を観てきました。
かつての第三舞台のメンバーだった小須田康人さん、大高洋夫さん、長野里美さん、山下裕子さんが、同じ舞台に立っている。
それだけでも、なんだか感慨深い。
そして、映像出演の筒井真理子さん。
そこに鴻上さんの信頼を得ている若手メンバーが加わり、その絡みもとても良かった。
長く続いてきたかつてのものと、新しいものが一緒に舞台にある感じがしました。
作品は、笑えて、軽快なリズムがあって、サービス精神もたっぷり。
これあの作品のセリフというのもあったし、かつての衣装を思い出させるものもありました。ちゃんとダンスシーンもあります。
私はそんなに観てないのでいくつかしかわかりませんでしたが、それでも
「ああ第三舞台だ」と思わせてくれる楽しさがありました。
客席は年齢層高め。かつての第三舞台のファンと思われる方も多く、反応もよく、とても温かい雰囲気でした
そして、それだけではない。
老い、喪失、死、過去への悔い。
この年齢だからの問題、今の時代の問題にも触れながら、それぞれの人物が抱えるものが見えました。
皆さん印象にしっかり残りましたが、カリスマ性のある人物でありながら、母親として、友人としての苦悩を、思いっきりの良さと繊細さで演じられた長野さんが、眩しかった。
そして、舞台上で特にうまいなあと思ったのが、過去の回想を表現する雨粒の映像。
雨粒が落ちてくる映像が美しくて、それだけでも印象に残るのだけれど、雨にはどこか闇のイメージがつきまとう。
だから、「過去を振り返っている」と説明されなくても、
「これは封印されていた過去なんだ」
と感覚的に伝わってくる。
美しいだけではなく、映像そのものが物語を語っている。
こういう演出好きです。
観ている間は、笑って、第三舞台らしい軽快さを楽しんでいました。
でも、劇場を出てから残ったのは、楽しかったなあという思いと、もっと静かなもの。
老い。
喪失。
過去への悔い。
そして、人と人との繋がりと、赦し。
過去をなかったことにはできない。
失ったものは戻らない。
後悔も消えない。
それでも人は、人との繋がりの中で、誰かを赦したり、自分自身を赦したりしながら生きていくのかもしれない。
かつて第三舞台を作っていた人たちが、長い時間を経て、今の年齢で、今のメンバーで舞台に立つ。
そんな事と作品がリンクするように感じました。
だからこそ、この作品になったのだろうなと思いました。
