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気のむくままに

観劇日記の様になってますが、気になりましたら、読んで頂けますと嬉しいです。

マイペースに更新しております。


劇団チョコレートケーキ『三人の密偵』


【脚本】古川健

【演出】日澤雄介

【出演】岡本篤 浅井伸治 西尾友樹


『導火線』西尾友樹✖️岡本篤
『IGNITION』 西尾友樹✖️浅野信治
『誘爆』岡本篤✖️浅野信治

この順で観劇しました。
劇団員3人による2人芝居3本。

長男、池内武一を岡本篤さん。彼は父親の後を継ぎ、陸軍エリートコースを歩み日本陸軍参謀本部中佐として満州を支配しようとしている。

次男、森高逸治を浅野伸治さん。
貿易商を営む森高家に婿養子に入り、今は日本陸軍関東軍司令部の密偵となっている。

三男、王英三を西尾友樹さん。中国人の母との間の妾の子。産みの母を5歳の時に亡くし日本の池内家にひきとられる。中国に戻り現在は中国国民党蒋介石の密偵。

個性の全く違う3人ですが、どの方も好きな役者さん。
70分の2人芝居は密室での密談。
兄弟関係も見えて面白い。
其々の立場と信念から、張作霖爆殺事件の陰謀に近づいていきます。兄弟の会話は腹の探り合い、情報戦を繰り広げているような緊張感があるかと思うと、兄弟家族の絆や信念が根底にある重厚なストーリーでした。

しかしそれさえも踏みにじらる展開に‥

一室の兄弟の会話から、張作霖爆殺事件から関東軍の暴走へと向かう歴史が見えました。

⭐︎この後内容に触れていますので、これから配信で見る方は見てから読んで頂けたら嬉しいです。



『導火線』
阿片窟にある王英三の隠れ家に、中国人に扮した武一が来る。関東軍の思惑に危険な兆候を感じている2人、其々立場から情報を交換する。
話から池内の家族の関係も見える。武一が英三に内地に戻らないかと誘う。兄弟肉親の思いと、其々の立場理想が交錯する。英三が日中友好への思い、アヘンが原因で亡くなった実母への思いを語る。お互い日中の平和を思いながら別れる。

『IGNITION』
1ヶ月後物語が動く。王英三のいるホテルに森高逸治が現れ驚く情報を提供する。その時張作霖爆殺事件が起きる。
逸治は日本人、英三は中国人の立場で激論を交わし、逸治は英三に蒋介石への助言を頼む。それは中国公民党にいる英三にとって殺されかねない事である。
だか日中友好の為、英三は南へ旅立つ。
どんどん上がっていく緊張感とラストに痺れました。

『誘爆』
一年後、武一は陸軍の強硬派に従っている。
逸二は父の日中友好の理想を持ちながら関東軍の密偵として活動している。2人は激しく議論を交わす。
だが、私にはどちらの話もこの時には、やり方は違えど満州を対等には見ていない、制圧しようと主張しているように聞こえました。
英三の話になり、南で亡くなったことがわかる。何故英三を煽ったのかと逸治を責める武一。肉親の死の苦しみに葛藤しながらも、一度動き出した流れはとめられない状況になっている。
この誘爆には出ていない英三ですが、見ながら彼が中国の自立の理想や、アヘンを支那から撲滅したいと語った姿が思いだされました。
双方のバックグラウンドを持つ王英三の思いがここで痛いほど刺さってきます。

今年みた「みんな鳥になって」イスラエルでのユダヤ人とアラブ人の歴史でも思いましたが、
戦争で残した民族同士の歴史は、のちの歴史に大きく影響してしまうのですよね。
今の日中関係に、この時の歴史は影響していますよね。
だからこそ、人が争わないための、努力が必要なのだと思わされます。

サンモールスタジオでの、劇団員による濃密な歴史劇の会話劇。
3人の硬派な芝居、脚本、演出。
こういう作品待ってましたと、今年ラストにこの芝居が見られて良かったです。
見たくてもチケットがとれず見られなかった方が多かったと聞きます。
配信はあれど、劇場で観たい作品です。サンモールでの再演がありますように、その時にはまた見にいきますので。
キャストと日澤雄介さんによるアフタートーク、作品レクチャーの古川健さんと日澤さんのビフォアトークも楽しかったです。