ミュージカル「この世界の片隅に」 | 気のむくままに

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観劇日記の様になってますが、気になりましたら、読んで頂けますと嬉しいです。

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【脚本・演出】上田一豪

【出演】昆夏美、大原櫻子、海宝直人、村井良大、平野綾、桜井玲香、小野塚勇人、小林唯、小向なる、音月桂、白木美貴子、川口竜也、加藤潤一、飯野めぐみ、家塚敦子、伽藍琳、小林遼介、小林諒音、鈴木結加里、高瀬雄史、丹宗立峰、中山昇、般若愛実、東倫太朗、舩山智香子、古川隼大、麦嶋真帆、桑原広佳、澤田杏菜、嶋瀬晴、大村つばき、鞆琉那、増田梨沙


観た友人のお勧めで、始まってからチケットを探し天井桟敷より観劇しました。

空襲の場面では、日生劇場の美しい天井が前方からだんだんとすぐ側まで赤く染まり、胸にくるものが。
又、下からの照明が多くて、壁や天井に反射して美く、2階ならではの感じ方があったと思います。

傾斜のある八百屋舞台。その中央に大きくとられた盆の使い方が、坂や丘なったり、人が隠れたり出てきたり、盆の下からの照明と、印象的でした。又、紙にみたてた背景にすずの描いた絵が徐々にに描きだされる美術が素敵でした。

アンジェラ・アキさんの曲は、物語に寄り添うかの様でした。歌い上げるミュージカルより、こういう作品の方が私は好きで、わかっているストーリーなのに泣かされてしまうのは、音楽の力も大きいと思います。

作品は、原作の世界観を丁寧に再現していて、原作が好きなので嬉しかったなあ。
大劇場でありながら、繊細な所まできちんと伝わる。もちろん役者さんの力もあります。
この日しかなかったのでキャストはたまたま。
大原櫻子さん、海宝直人さん、桜井玲香さん、小野塚勇人さん。
大原さんのすずは、純粋でおっとりしているけど、もともと芯はあったのだろうなあという強さも表現していて、表情、表現、こんなに凄い役者だとは‥今更ですが。
海宝さんの周作はあったかい。抑えながらも繊細な芝居をしていて、ストプレも観てみたいなあと思いました。
音月桂さんの義姉怪子に泣かされました。
子役が又素晴らしい。
又演出的に、子役が歌うからこそすーっと入ってくるものがありました。

映画を見た時と感じ方が少し違ったのは、戦争や原爆の恐ろしさはとても体感するのですが、
戦況が悪化していく様、原爆のその後の悲惨さより、すずと周作の恋の印象が映画より強くのこるところかな。


誰もがこの世界の片隅に生き、居場所を探している。
そのことが、こんなに彩のあるものだということを。
作品の美しさと重ねながら、あたりまえでなかった時代を通して描いた作品なのだなあと感じました。


この世界の片隅に、わたしがいた、あなたがいた。

この言葉が胸に響きます。