風姿花伝プロデュースvol10 「夜は昼の母」@シアター風姿花伝
【脚本】ラーシュ・ノレーン、翻訳:ヘレンハルメ美穂
【演出】上村聡史
【出演】岡本健一、那須佐代子、竪山隼太、山崎一
vol4から見続けている公演も7年目。
密度の濃い、小劇場の空間で、大人の芝居を見せてくれる。
今回はラーシュ・ノレーンの作品(3作品目)を上村聡史さんの演出で。4人芝居。
山崎一さん、那須佐代子さん、堅山隼太さん、岡本健一さん、このキャストが発表された時にテンションあがりました。いつも好みのキャストですが、山﨑一さん、堅山隼太さんをここで観るのは初めて。
其々問題を抱えている家族。精神だけでなく、母エーリンは良くなさそうな咳と肩の痛みを抱えながらもタバコを吸っていて、肉体的にも問題を抱えている。
他人から見たら崩壊しているのだが、(実際凄まじい闘いの夜を過ごす)愛と憎しみと依存で繋がっている家族。
他人なら簡単に切り捨てられるのに、親子や夫婦はやっかい。複雑な心の内を感じ、
4人のそれぞれの表情の変化や言葉に、ヒリヒリしたり、ゾクゾクしたり、笑ったり‥の約3時間。
アルコール依存性であるホテル経営者のマッティンを演じた山﨑一さん。隠れて飲酒する様や飲酒する時に「あー気持ちいいいー」と本当に気持ち良さそうな表情をするのに笑いがおきる、ところが、酔う程に崩れ、悪魔のような表情になるのが凄くて、こんな山﨑さんは初めて観た。
彼の凄さが、数日たっても酔のように感覚として残っている。
学校に行かず母の服を着て鏡を見る、幼い頃より夜寝られない16歳のダヴィドを岡本健一さんが。若作りしていないのに、16歳の青年、少年かな?に見える。彼の無邪気さや執着、岡本さんに不思議な魅力があり彼以外の配役が考えられなくなる。
ダヴィドの兄イェオリを堅山隼太さん。家族への嫌悪感が鋭い目に表れている。
そして、母エーリンの那須佐代子さん。母としての愛、家族の要でありながらも、夫を捨てきれない苦しみや依存。彼女は、あの家族は長い夜が明けたらどうするのだろうか?
現実と妄想をいったりきたりする場面が後半にあり、ここはダヴィドの妄想かな?
どこまでが現実?と思うのだが、ダヴィドだけでなく、この家族はある意味ではそんな妄想の様な日常を生きているのかな。
最前列でみたこの芝居。手が届く舞台のそこで見た俳優人に、臨場感が半端なかった。