テラヤマキャバレー | 気のむくままに

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テラヤマキャバレー@日生劇場


【脚本】池田 亮

【演出】デヴィッド・ルヴォー

【出演】香取慎吾、成河、伊礼彼方、村川絵梨、平間壮一、花王おさむ、福田えり、横山賀三、凪七瑠海(宝塚歌劇団)、浅野彰一、小田龍哉、葛たか喜代、川原田樹、日下七海、小林風花、近藤彩香、的場祐太、水口早香



痺れる言葉が沢山あって、残しておきたいと思い終わってすぐに思い出してメモしかけたのだけど、正確には思いだせないのが悔しくて。でも言葉を浴びた感覚は残る。

日生劇場で、アングラの香りのする音楽劇。こんな芝居が似合うとは思いませんでした。脚本は池谷亮さん、凄い脚本でした。彼が脚本、演出、美術をしている団体「ゆうめい」見たことないので次の公演は見たいなあ。

小劇場は期間が短いのでチェックしておかないと。

演出はデヴィッド・ルヴォさん。「道」以来。



寺山修司、彼が亡くなる前夜。亡くなる前夜に何を思ったのか。死を目前にしても、作品を作ることに熱い思いを持ち、何かを言葉を残そうとする。「死」が迎えにくるのだが、死は一晩の猶予と、時代を行き来出来るマッチを与えます。

マッチをすると、過去、未来へ。

彼の実際の生涯というわけではなくて、彼の詩や、作詞した歌や、言葉がちりばめられていました。
彼をあまり知らないが、いくつかのエピソードや言葉や事柄はわかり、あー!と思ったり、あの台詞!と思った言葉も、彼のだったのかと後から知りました。
そして言葉を伝えるだけでなく、何を問うかという所が感動を生むというか。
想像力を働かせ、寺山修司に出会い、言葉に圧倒され、そして、おもちゃ箱をひっくりかえしたような、わくわくする楽しさもありました。

寺山修司を演じたのは、香取慎吾さん。慎吾さんファンも多く、満員の多様な客席。
この作品を見て、30年近く前に、未成年やドクのドラマを見て、この方凄いと思った事を思い出しました。(それから、ちょっとしたくらいのファンで、舞台やコンサートにも何回か行ってるくらいの)
慎吾ちゃんは、圧倒的なオーラと大きさがあり、彼の持つ芸術家だったり孤独な雰囲気は、はまり役。

寺山さんは47歳で亡くなったとの事。慎吾さんは今47歳との事で、出会うべくして出会った感じがします。
最初に登場して歌い出した時、鳥肌がたちました。真っ直ぐ届く言葉と歌。
「まだ死にたくない」という言葉、母への質問をする時は、泣きそうになりました。

最後マッチを擦って去るところの姿が残像として残ります。


そして、他のキャストも上手い方ばかり。上手いだけでなく、その方ならでは。
成河さんの絶妙な間と動き。作品で重要な音を出し続ける凄さ。

伊礼彼方さんは面白すぎ。作品の空気をかえる蚊。
福田えりさんに何度ぐっとき、歌も沁みました。などなど‥
一人一人に見せ場や歌があり、色々な色があり、皆さんの役のバランスが良いのは、作品に集中し、あっという間の時間となりました。


私が観た日は、花王さんが休演され、スイングの木村風太さんが代わりに舞台に立ちました。70代の方の役を20代の彼が。彼のお陰で見られた作品です。

最近又、作品の後半にチケットを取ることが増えているのですが、まだ舞台は薄皮を踏む様な状態なんだなあと思いました。

そういえば、マッチを3度擦るのですが、
最後のマッチを擦った後に、香りがしました。一緒にその空間にとぶような気がして、こういうのにやられます。
M列と後ろの方の席なのに、(センタブロックで見やすい席)そんなはずが?と思って隣りに座っていた娘に後で確認したのですが、したよ!と。劇場で観るってこういう事なんですよね。

寺山修司の言葉は、彼の元を離れても、この作品に残っている。演劇って凄いなあ、いいなあと思いました。