名取事務所「屠殺人ブッチャー」 | 気のむくままに

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「屠殺人ブッチャー」@「劇」小劇場


【脚本】ニコラス・ビヨン

【演出】生田みゆき

【出演】西尾友樹 万里沙 清水明彦 髙山春夫


屠殺人ブッチャーは再々演とのこと、私は初見。
名取事務所は、西尾友樹さんが出演する、(前回は森尾舞さんが出演する)という動機で観にいったのだが、お目当ての役者さんの演技も、そして作品そのものにも打ちのめされる。という状態が続いている。

ハードな内容に、今回も観た後どっと疲れたが、観て良かったし強烈な印象が残った。

90分。長くはないのだが、最初は笑いもあり、ミステリー仕立てであるのに、途中からこれでもかというくらい濃密になっていく。



民族紛争が露わになるクリスマスイブの夜の事件。
その内容は、容赦ない。
明らかになる20年前の事も、自白させる方法も、犯人がとった復讐の方々も。よくこんな事を思いついて‥苦しく身の毛もよだつ事ばかり。
それを、目前で人間が演じる事の意味を、今回も強く感じた。


西尾友樹さん演じる青年が、汗と涙を流し声を枯らし必死に言葉を振り絞る。理不尽な事がおき、知らされた事実、究極の選択をとらざるおえなかったこと。感情も身体もぼろぼろの中、それでも理性ある言葉を言うが、その言葉は無力さを嘲笑うかのよう。
彼は知的財産権専門の弁護士で、人権派の青年。

その設定があってこその追い詰められ方と最後は
痛みを伝えるための暴力という復讐の連鎖は、断ち切ることが出来るのか‥
そんな事を考え続けて欲しいという願いが込められているように感じました。

ロシアによるウクライナの軍事侵攻。パレスチナガサ地区の軍事衝突。決して過去の架空の話ではない。

やはり、目の前でみてこその作品だなあ。


役者さん皆さん素晴らしく、万里沙さんのかっこよさ。森尾舞のも観てみたかったなあ。

髙山春夫さんは、よく考えたら日本語を一切話していなかった。それで伝わる凄さ。