iaku「モモンバのくくり罠」 | 気のむくままに

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iaku「モモンバのくくり罠」@シアタートラム


【脚本 演出】横山拓也

【出演】 枝元萌、祷キララ、緒方晋、橋爪未萠里、八頭司悠友、永滝元太郎


関西弁でのテンポ良い会話が続く105分。
笑いがかなり多く、私が今まで見たiaku作品の中では1番多くて、特に前半はいつもと違う?なんて思った。だが後半6人による会話になると、ちくりとする言葉や、考えさせられるテーマの中に笑いが‥そして最後はじわーっときた。

今回インパクトのあるちらしだなあと思ったのだが、設定がちょっと驚きで、観た後ちらしの意味が、そうかとしっくりきた。

ざっとした内容は、山奥で、くくり罠で鹿や猪を捕獲し畑で野菜もつくりと自給自足生活をしてきた真澄(枝元萌)。5歳からと畜を手伝わされ、そんな環境で育った一人娘のもみじ(祷キララ)。しかしもみじはその生活に徐々に違和感を持ち、高校を卒業すると彼女は山の下で生業を持っている父の元で暮らし始めるのだが‥

主に子育て、自立に焦点をあてた話かな。

そこから宗教2世のことや、家族とか。


小さい頃の環境って、自分で選べない、そして「その人に植え付けられる」という言葉がとても納得。外からの関わりや情報がないから余計に。それだけで育ったもみじは他の人と関わる様になって、普通がわからない、生きづらいと苦しんでいた。

ここまで極端ではないけど、横山さんの脚本は、形こそ違えど、親にこう言われたからこうしてた、これ普通じゃなかったんだ、ということがよみがえる苦さがある。

今回ラストは、自立したいのだけど、身体まで母の生活に植え付けられていて、そこは深く考えると深刻なんだけど、ちょっと笑いを交えながら、新たな提案もあって、未来に繋がるようになっている。

その終わり方が、そうだよね辛いよね、だけどその辛さを大きく受け止めてくれるような終わり方で、私達も抱きしめてくれるようでした。

後、iakuの作品は、いつも会話をしている時の空気がとてもリアルなのだけど、今回もとてもリアル。
余計なこと言っちゃう人とか、気まずい雰囲気作っちゃう人とか、逆に言いたいこと上手く言えない人とか。

出演者の方々、枝元萌さん、「あつい胸さわぎ」でもお母さん役でしたが、このお母さんもいい。
祷キララさん初めて拝見したのですが素敵な役者さんです。若いゆえの言葉、自分でどうしたら良いかわならない苛立ちとか、とてもリアルでした。
橋爪未萠里さん、iakuでおなじみですが、彼女が出てきて作り出す雰囲気っていつも凄いなあ。

今年1番多く行った劇場がシアタートラムでした。(6作品)
世田谷パブリックシアターと合わせると10作品。
見やすくて好きな劇場ですが、来年も沢山行けるといいなあ。
こまばアゴラが閉館するとのこと、数える程度しか行ったことはないのですが、あつい胸さわぎの初演の時に、とても感動して階段を降りたら、横山拓也さんが観客を出迎える様に立っていらしたなあ。
トラムのロビーで見かけた横山さんを見て、思い出しました。