肥満治療薬ウゴービが保険適応へ、ただし使用には条件あり! | 調剤薬局で働くママ薬剤師のお薬と子育て親育ちブログ

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昭和生まれ2児の母でもある調剤薬局勤務の薬剤師が市販薬や病院の処方薬、薬の飲み合わせなどお薬のこと、大好きなコンビニスィーツや思春期の子育てで感じることなどの日常のアレコレを書いているブログです。

こんにちは。

薬剤師の安美です。

 

 

今年の春に承認されたときから

ひそかに話題となっていた肥満症治療薬のウゴービ

 

ついに、11/22から保険適応となることになりました。

 

保険適応になる=医師の処方せんがあれば、調剤してもらえるということです。
(一般のひとは3割負担で)

 

 

 

 

ただし、「ダイエットしたいから欲しい!」というのはNG

 

 

ウゴービを処方してもらうには条件があります。

 

1:高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のうち、どれかの持病がある

 

2:BMI(肥満度を測る指標)35以上、
もしくは、BMI27以上で肥満に関する健康障害*、運動機能障害が二つ以上ある

 

*脂肪肝、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群、月経異常など11項目

 

 

ただ太っているだけの肥満ではなく、

肥満症という病気に対して処方されるというわけです。

 

 

肥満症

肥満による11種の健康障害(合併症)が1つ以上あるか、

健康障害を起こしやすい内臓脂肪蓄積がある場合に診断され、

減量による医学的治療の対象になります。

BMIが35以上の場合、高度肥満症となります。

一般社団法人日本肥満学会より引用

 

ちなみに、BMI25以上から肥満とされます。

 

 

肥満症治療薬ウゴービ(一般名:セマグルチド)は注射剤(皮下注)です。

 

週1回、注射する必要があります。

 

 

GLP-1受容体作動薬と呼ばれる種類の薬です。

 

この種類の薬は、
インスリンの分泌を促して血糖値を下げる働きがあり、

糖尿病治療薬としてこれまで使われている歴史があります。

 

 

簡単に説明すると…

 

GLP-1はインクレチンと呼ばれるホルモンのひとつ。

インスリン分泌を促進するはたらきがあり、

食事をして血糖値が上がると小腸から分泌されます。

 

(食事をしていないとき=血糖値が高くない時は
GLP-1は分泌されず、インスリンも出ない)

 

 

ウゴービなどのGLP-1受容体作動薬は、

体の中でGLP-1と同じ働きをします。

 

 

そして、このGLP-1というのは、

膵臓でのインスリン分泌だけでなく、

胃腸や脳、心血管系などなどいろいろな臓器でも作用すると考えられています。

 

その中のひとつとして、

脳の満腹中枢に作用して食欲を抑制する、

胃のぜん動運動を抑制して体重減少する、

とされています。

 

 

ウゴービはこの作用にフォーカスした薬といえます。

 

 

説明してきたのでわかると思いますが、

空腹時は作用しないとはいえ、

血糖値を下げる働きのある薬です。

 

ただのダイエットに使うには、普通の人は抵抗を感じると思います。

 

 

あと、ウゴービには低血糖以外の副作用もあります。

 

添付文書で5%以上にみられる副作用として以下のものが挙げられています。

 

・食欲減退

・頭痛

・悪心、下痢、嘔吐、便秘、消化不良、おくび、腹痛、腹部膨満

 

とくに、胃腸障害が多くみられるようです。

 

 

 

私なら、薬に頼らずに、食事や運動などでダイエットしますが、

注射するだけで痩せる

というのは魅力的なんでしょうねー。

 

 

同じGLP-1受容体作動薬である糖尿病薬マンジャロが、

適応外使用(美容・痩身・ダイエット等)のために、供給不足になっています。

 

私の勤務先の薬局でも、

継続処方だけで、新規処方はできない状態です。

 

 

ウゴービの保険適応でどう変わっていくのか…

 

薬はリスクですから、よく考えてほしいものです。