第5回WBC2023の侍ジャパンを振り返る(中編・壮行試合編) | まぶたはともだち

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最近はプロ野球もお熱です。

前編はこちら

 

 

 

多分本大会のことはいつまでも覚えていられると思うのですか、そこに至るまでの合宿とか練習試合の出来事は大体忘れちゃうと思うんで、ここに書き記しておこうと思います。

 

と、いうわけで改めて日刊スポーツと週刊ベースボール、それにnumberを読み返しています。



ボクがスポーツ新聞の中でも日刊スポーツにこだわるのは、特定の球団に肩入れしてないのと、データ面が充実しているのが大きいです。あと里崎のコラムがユーモラスでおもろい

1月はウインタースポーツが1面になることも多いのですが、今年はほとんどがWBC関連。

2月に入ると、代表のちょっとした動向がほぼ毎日書かれるようになって、ワクワクする気持ちでいっぱいでした。

3月に入るとストレスとプレッシャーで死にそうになりましたが……

2月2日、キャンプイン初日の1面が村上。

マジでこの頃は村上→佐々木朗希→大谷→ダルビッシュのローテーションだった

 

しかし振り返って思うのは、開幕前の熱狂のすさまじさ。

ネットで配信があるにも関わらず、キャンプの見学が毎日満員になり11日間で18万人を動員、壮行試合も全試合満員御礼。

国立宮崎大学の入試とバッティングしてしまい、受験会場から1時間以上離れたところでないと宿がない、という嘆きのニュースもありました。

 

自分もそれなりに野球好きなつもりだけど、いくらメンバーが豪華だからって練習だけ見ても面白いんでしょうか。

大谷のフリー打撃にファンや選手が釘付け!なんてニュースもありましたが、自分は楽しめるかな……。

Numburのインタビューによると、宮崎合宿に参加することも出来たがメジャーリーガーとのオープン戦に参加するほうが良い、との考えからあえて参加しなかったかのような口ぶりでした。

ダルビッシュと同じで壮行試合に出られない規定なのであればそれも妥当かな……

 

合宿期間中、連日一面で取り上げられていたのはダルビッシュでした。

MLB勢で一人だけ宮崎キャンプに参加してくれて、投手陣をまとめあげてくれて。

投げる機会があまりなかった投手も、ダルビッシュから薫陶を受けたことが財産になったという人がいるんじゃないでしょうか。

 

一人だけ圧倒的に実績が少ない宇田川が「気疲れしています」というニュースが流れたその日、早速「宇田川さんを囲む会」をやってくれたのとか見た瞬間、ちょっと泣きそうになったよね。

かつて「WBCとかアメリカじゃ誰も観てないですよ」とか言ってた男の姿か?これが……

友人の受け売りだけど、かつてイチローが務めた役割を自分が引き受けた、そんな考えなんじゃないのかな~って思います。

 

 

 


宇田川、減量トレーニングに追われてダルビッシュの初ブルペンが観られなかった、なんて書いてあったし大変だったと思う。その前の球団でのキャンプでも中嶋監督に「痩せろ」とか「調整不足」とか怒られてたし。

そもそもアマチュア時代も無名で去年7月まで育成だったもんなあ。いきなり2月に身体を仕上げろと言われてもきついだろうて。

 

そういえばおととしの東京オリンピックでは、結果的には金メダルだったとはいえ終始重苦しい空気でした。

未だによく覚えているのですが、緒戦のドミニカ共和国戦、2点ビハインドで迎えた際の終盤のベンチは、本当に負けたら殺されるのではないかと錯覚するほどに悲壮感に満ち満ちていました。逆転サヨナラ勝ち出来たから良かったですが。

真剣ながらも和気あいあいとしたムードがニュース越しにも伝わってきて、あの頃は何も怖くなかった。

 

 

一方、野手陣は不安の残る状態でした。

特に史上最年少の三冠王にして23歳の日本の4番、村上は大苦戦をしいられました。

 

先に昨年11月の強化試合のスコアも書いておきます。

併せてご確認ください。

 

侍ジャパンは4戦全勝で30得点と圧倒的な打力を発揮。

その中で村上は圧倒的な成績を残しました。

 

なんと3試合でホームラン4本。

4試合目に出なかったのはもう"当確"だったからだと思います。

 

2月地点では、大谷の次にすごいバッターが村上なのだと、国内ではぶっちぎりのバッターが村上なのだと本気で思っていました。

最低でもベストナインは獲得、MLBのスカウトが25歳ルールを捻じ曲げてでも今すぐ欲しい!と悶え苦しむ姿が見られると本気で期待していました。

 

でしたが……

 

 

まさか6試合でヒット3本。

内野ゴロと三振が大半と、フォローできる要素まるでなし。

中日戦辺りから凡退するたびに下を向いてベンチにトボトボ帰ってくるさまが、痛々しくて重苦しいムードが漂っていました。

チーム全体もそんな感じでした。

 

 

一見悪くないようですが、外野のサポートメンバーの貢献によるところが大きいです。

4戦目までに代表が打ったヒットの数はわずか合計26本。1試合平均6・5本は寂しい。

長距離砲をずらりと並べているにもかかわらず、ホームランは岡本の1本だけ。

特にボクが推していた山川と山田がそれぞれ12打数ノーヒット、9打数ノーヒット、と観ているだけでこちらの具合が悪くなるくらい足を引っ張っていました。

 

そこで阪神戦から合流したMLB勢が頼もしかった。

大谷がホームラン2本、ヌートバー2安打、吉田がツーベース1本。

まさしく打線がつながった瞬間でした。ここから視聴率も跳ね上がったわけで、まさしく大谷の持つ圧倒的なスター性について再認識させられました。

 

オリックス戦では大谷が2打席とも出塁、ヌートバーがスリーベース。吉田が3安打4打点の大暴れ。

まさしく格の違いをわからせられた瞬間でした。

 

山川は大谷と入れ代わるようにして代打要員へ。

セカンド山田も牧と交代へ。

しかし一方村上は、村上だけは外されることがないまま、侍ジャパンは決戦の地・東京ドームへと赴くことになります。

 

 

本大会の話に移る前に、村上がどんな感じの扱いだったか書き残しておきます。

(日付は実際にその出来事があった日の話で、日刊スポーツの記事はその翌日付です。

 

【1月6日】

一部メンバーの先行発表。当然村上は内定。

 

公開自主トレで「期待されながらやれればいい。結果を残すだけなんで」

「初めてだけど3月に開幕するのは毎年のこと。あわてる必要はないのかな」と余裕のコメント。

 

【1月25日】

ビジネスプラットフォームツール「Lark」のCM発表会に出席。

野球選手のとしての最終進化系を問われて「残り20年とちょっと、進化し続ける」ことと頼もしすぎる回答。

 

【1月30日】

キャンプインの2日前、浦添市での歓迎セレモニーで今季の目標を問われ「2年連続三冠王」と明言。

 

【2月1日】

キャンプイン初日からサク越え11本。杉村打撃コーチも「仕上がってますね」と太鼓判。

 

【2月2日】

23歳の誕生日。この日もサク越え19本。

 

【2月3日】

この日もサク越え16本。電光掲示板を破壊。

 

【2月9日】

サク越え10本。推定130mの場外弾。

こいついつも打ってんな。

 

【2月10日】

古田臨時コーチが打撃投手を買って出る。

 

【2月12日】

練習終了後、少年野球教室に参加。

軟式球によるロングティーで2連続さく越えを披露。

……今更だけど余計なことやらされすぎだろ。

テレビも出まくってたし

 

【2月15日】

代表合宿直前、ロッテとの練習試合に出場。

佐々木朗希の160キロストレートの前に空振り三振。

第2打席は二木からヒット

 

朗希の試合後のコメント

「一緒に戦っていく中で頼りになりますし、沢山頼っていく気持ち。

点を取ってくれると思って思い切り投げられるかなと思います」

 

村上のコメント

「チーム全員が一丸となるために若いところから、年上の方まで一丸となって戦わないといけないと思う。そういう意味で(ともに)若いですけど引っ張っていけたらと思っています」

 

 

【2月17日】

代表合宿初日。フリー打撃で山川・岡本・周東と同組になり、サク越え11発。

 

【2月22日】

ライブBP(実践形式の打撃練習)で、ダルビッシュからバックスクリーン直撃弾。

ダルビッシュも「あの球をメジャーの選手も簡単には打てない。一発で仕留めたのでびっくりしました」と絶賛。

この時まではバラ色のミライしか描けていなかった。

 

【2月25日】

ソフトバンクとの壮行試合初戦。4番指名打者で出場も1打数ノーヒット2四球で交代。特にコメントなし。

 

【2月26日】

この日もソフトバンクとの壮行試合。この日は4番サード。

3打数ノーヒットで早くも暗雲が立ち込める。

また、守備でもまずいプレーを連発し、日刊スポーツ紙上で緒方耕一にファーストに回してはと書かれる。

 

この日の村上のコメント

「(7回のセンターフライは)身体のキレを上げていけばホームランになるスイングだった。もっと仕上げていければ」

 

【2月27日】

宮崎キャンプ打ち上げ。「怪我無く出来たし練習の強度も上げられた」と前向きなコメント。

ちなみにこのとき山川が「自分の4番は絶対にない。神様がいるから」とあまりにもかっこよすぎる発言。

 

パ・リーグ二冠王なのに8つも下のやつにこんなこと言えるのか……!

山川は後に大谷の打撃練習を見て「野球辞めたくなりました」なんてコメントしていましたし、最後まで代打要員だったのにムードメーカーやってたし器のデカさを感じます。

23の村上にそこまで求めるのは酷かもしれないけど、いつかはこうなって欲しいなあ。

 

【3月1日】

鈴木誠也の辞退が正式発表。

この日の村上のコメント

「誠也さんはすごく日本のためにと常にやってましたし、今回はアツい気持ちだったと思う。残念ですけど、僕らがしっかり引っ張っていければ

「そこで責任感が生まれるどうこうとかじゃなくて、しっかりWBCに入った時に強い気持ちと責任感を持ってきた」

 

あとフリーバッティングでさく越え16発。こいついつも練習だと打ってんな。

 

 

【3月3日】

中日との強化試合。チームは2対7で敗戦し、唯一盛り上がったのが試合前に大谷が紹介されたとき。

 

ここで初めてヒットが1本出る(ライト前への単打)も、それ以外の3打席はタイミングがあってない感じの内野ゴロに終わる。

 

この日の村上のコメント

「ヒット出た事は良かったんですけど、まだ全然打球上がってませんし、芯で捉えていることができてないので、試行錯誤しながらやっていければなと思っています」

 

【3月4日】

中日戦との強化試合。大谷が試合前の打撃練習で推定160メートルの特大弾を放ったのが話題になる。

 

村上はまたしても4タコといいとこなしに終わる。

 

この日の村上のコメント

「感覚を1つ2つ見つけるというのがすごく大変。昨日より今日今日より明日明後日とつながっていくので、その段階ではすごくいい感じで来ている。今は結果を求めないでほしいなって思っています

 

【3月6日】

阪神との強化試合。ついに合流したメジャー勢が活躍するなか内野安打1本に終わる。

「打席でいろいろ試しているけど、なかなか結果が出ていない。何とか良い状態を保てるように」「(メジャー勢は)すごく刺激になっています。4番としてもっと結果を残すことを意識したい」

 

【3月7日】

オリックスとの強化試合。

ようやく初アーチが飛び出す。

 

「ホームランを打った後の走り方を忘れていました。ちょっとほっとしました」という正直なコメントが印象に残りました。

 

それにしても、村上はなぜここまで苦しんだのでしょうか。本人は大谷や吉田正尚の真似をしたらうまくいかなかったなんて言ってましたが、

 

 

本当のところはテレビに出すぎでオフシーズンに休めなかったからじゃないかな~と今でも勘ぐっています。あと単純に三冠王が日本の4番を打つ、というプレッシャーも。

 

いよいよ本大会編に続きます。