まぶたはともだち

まぶたはともだち

なんか他人に紹介する体の覚え書き 頻繁に書き直します
最近はプロ野球と萌え4コマにお熱です。

・天気の子


「神様、お願いです。

これ以上僕たちに何も足さず、僕たちから何も引かないでください」

 

 

一応書いておきますけど、ネタバレ全開なのでご了承ください。

あと前置きがクソ長いので、プログラムの写真があるところまで飛ばしてください。

(自分語りは脳に良いからね、仕方ないね)

 

というわけで、公開初日に立川シネマシティで極上音響上映を見て来ました。

いやー、シネマ・ツーの入り口の扉に

「君の名は〇時の回完売!」

「シン・ゴジラ〇時の回完売!」

「ガールズ&パンツァー〇時の回完売!」

「マッドマックス〇時の回完売!」

ってビッシリ張り紙がされていたのがもう3年前のことですか。

ガルパンは最終章第二話をやっていたけど、流石にそこまで混んではいなかった

振り返ってみると2016年8月当時は鬱病が1番ヤバかった時期で、内容を追うのに必死みたいな状態でしたけど、今度は前日に発生した34人が亡くなった放火事件が一般紙の1面トップを独占という地獄みたいな状況で、やっぱり精神的に相当しんどい状態での鑑賞となりました。

アニメは救いなのか呪いなのか……。

 

 

正直、期待値はかなり低かったです。

 

・いまいちつかみどころの分かりづらいあらすじ

・焼き直し感のある予告編

・7月7日(公開12日前)まで製作していたのを理由に試写会をやってない

・公開直前に胸焼けするレベルで広告やコラボ企画などを展開

・主題歌5曲とかいう怪情報

・そもそもハードルが天井知らずに上がっている

 

などなど、地雷っぽい要素はいくらでも思いつきました。金払って地雷原を駆け抜けるとかマゾってレベルじゃねーぞ!

 

いま都内の映画館のHPを見ながらこれ書いてるんですけど、どこも上映開始直前にギリギリ満席になるかならないか、ぐらいの感じなんですよね。

公開前日にはどこもかしこも土日全部満席になっていた「君の名は。」と比べると、様子見に回っている人が相当多いということなのでしょうか。

 

シネマシティって映画を観たら一旦外に出てしまう構造になってるんだけど、再入場して800円のプログラムを買い求めました

 

 

本題に入りましょう。

 

そうですね……「君の名は。」より楽しめましたね。

「秒速5センチメートル」「雲の向こう、約束の場所」「言の葉の庭」の次くらいですかね。

でも大多数の人は前作に及ばないと、そう思いそうな気がします。

要するに東京にやってきた少年が不思議な力を持った少女と出会う、という話なわけで、大枠には既視感がありますが、焼き直しというよりはある種の相互補完のような印象を受けました。「君の名は。」がすくいとれなかった、わずかに残してしまった何かを拾い上げようとしているかのような……。

イメージで言うと、CDのB面でしょうか。想定する客層はほぼ同じなんだろうけど、そもそも「君の名は。」を越えようとしてないような。セットで観ると、なんとも言えない収まりの良さがあるというか。

 

 

点数をつけると、100点満点で90点くらいでしょうか。

ところどころ話の流れに無理があると感じたので、-3点。

あと夏美先輩の滑舌やイントネーションがところどころヤバかったので、-3点。

棒読みではないし、ちゃんとしているように聴こえたところもあったのですが。

 

(残りの-4点は後述します)

 

 

圧倒的に引き込まれたのが、序盤の上京の描写。

少年を乗せたフェリーが雨にけぶる東京湾に辿りつくところから物語が始まるわけですが、勝手の全く分からない土地で世間知らずの彼が恥をかき失敗し濡れネズミになり、やっとの思いで居場所を見つけてそこから奮闘する様子に、応援しているような自分が奮い立たされているような、不思議な感覚に陥りました。

 

自分は生まれたときからずーっと東京に住んでるわけですけど(まあ23区じゃないけど)、劇中で描かれる都内各所の街並みは実写よりも綺麗で、かと言って「君の名は。」みたく美化されているようには感じなくて、バニラトラックも走ってるし、地に足着いた憧憬を抱かせるものがありました。

都バスに乗っているときに映るごちゃっとした街並みとか、陽菜の住む田端駅周辺のちょっとしみったれた感じとかもぐっとくる。ちゃんと意識して見た記憶はないけど、多分本当にこんな感じなんだろうなーっていう。

露骨な表現ではないんですけど、帆高も陽菜も貧しいんですよね。プログラムの監督インタビューによると、日本が、特に若者がここ数年で明確に貧しくなったことが反映されているようで……ってそれに共鳴したってことは、ボクも貧しいってことなのか……。まあカップラーメンを喜んで食べる自分は、少なくとも心のありようが貧しいよね。

 

二人が悩んだり、無力さを嘆いたりするシーンは没入感があって、食い気味の掛け合いもテンポが良くて楽しかった。俺も帆高みたいに上京したい、凪のことを先輩って呼びたい、須賀さんの下で住み込みで働きたい、と痛烈に感じました。いや自分はメモとかとれないのでライター業は無理でしょうが。周辺のキャラクターもみな個性があって魅力的でしたし。

都内各所で陽菜が祈り、晴れ間がきざすシーンはどれも感動的なまでに美しく、このシーンだけでも金を払う価値はあるなと思えるものでした。確かに今、この瞬間が永遠に続けばいいと思えるものでした。

 

あと主題歌も全然クドくなかったですね。むしろ映像で魅せているな―ってシーンに良い具合にしっとりとした歌詞がかぶさっていて、「前前前世」等とは全く違う印象を受けました。ここも文句なしに褒めちぎれます。

B面とは書いたけど、流石に「前前前世」の直後にこれ流したら大分変だな

 

 

……しかし、終盤の展開はいかがだったのでしょう。

うまいなーと感じる部分もありつつも、唐突かつ強引に感じられました。気にならない人もいたと思いますけど。

『運命に翻弄される少年と少女が自らの生き方を「選択」する物語』らしいけれど、帆高にちゃんと感情移入出来ていた身としては、終盤の選択はあまりついていけなかった。はっきり言って動機付けがぬるすぎて「本当にそれでいいのか?」とエンドロールが終わるまで唇をすぼめていました。

少年少女の出会い(と再会)を、どこまでも運命的に描いていた「君の名は。」ってやっぱよく出来た話だったんですね。俺にゃ鼻につくところが多すぎたんだけど

 

そもそも二者択一でどっちを選ぶか提示して、片方を選んで終わるってどうなんだ?いや陽菜の消極的な選択を否定したから十分なのかな?でもどちらも手に入れるウルトラCを起こしてこそのカタルシスではないのか?そもそも陽菜はただ祈っただけで晴れ女の能力を手に入れたのに。大体なんであんな都合よく実銃が現れたり捨てたりまた拾ったりするんだよ?

いや、あの色んな感情を含んでいるであろうラストシーンは良かったけど……。

 

あとこれは本当に自分でも言いがかりだと思うんですけど、やっぱり期待したもの、想像したものと違ったんですよね。公開前のコメントなどから、前作の大ヒットで周りが何も言えなくなってて、とびきり独りよがりなものを作ってく(れ)るんじゃないかという、強烈な不安をはらんだ強烈な期待みたいなのがあったので。

ところがふたを開けてみれば、どれだけ面白いかはさておき、どんな人でも大体おんなじ印象を受けそうな、上目遣いでこちらの反応をうかがってそうな話で。

……ボクはしちめんどくせえラーメン屋みたいに、上から腕組んで出してくるのを期待してたのに。

瀧くんが三葉のおっぱい揉んだり、口噛み酒作ったり、そういうスパイスに相当するもなかったし。「まあまあ良かったかな」で終わっちゃうんじゃ、学校の給食ですよ。

てめー何様だよって話なんですけど、ボクは空いた時間の暇潰しじゃなくて、わざわざ時間を確保して良かったと思える作品を、何回見直しても、毎回感情が動かされる作品を、新海誠に期待しているのです。

きっと次回作こそ「君の名は。」の呪縛から解き放たれて、全く見たことのないものを見せてくれるんじゃないかと期待しています。本作は、きっとそのために必要だったんじゃないかなってとなればいいですね。

 

 

ひとまず……手元の小説版を早いとこ読破します。

また書きます。