借金玉「発達障害サバイバルガイド」感想 | まぶたはともだち

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最近はプロ野球もお熱です。

・「発達障害サバイバルガイド 「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47」(ダイヤモンド社)

これ、頑張らなくていいんだ……

発達障害やADHD(注意欠陥多動性障害)の症状は人によって千差万別ですが、多くの人に共通して「当たり前のことが出来ない」という悩みがあると思います。

部屋が片付けられない。

服を買いに行くための服が見つからない。

朝起きられない、夜眠れない。

自炊なんてもってのほか。

そういう人たちはある意味、普通の人の数十倍頑張っています。
が、まったく成果が出ない。
本書は発達障害の当事者にして、自称「日本一意識の低い自己啓発本作家」である著者が、常識に囚われない形での解決策を提示した画期的な1冊です。

部屋が片付けられないなら、とりあえず必要なものを入れておく箱を用意する。
服をハンガーラックにかけっ放しにすれば、たたむ、しまう、探すという手間を省ける。
そんな感じで、目からうろこの解決案がいくつも出てきます。
「これなら自分でもできる」と思うこと必至。
ただ、なぜそれを自分が思いつかなかったかと言えば、それは「常識に囚われていたから」なんですよね。
常識を感じ取るのが苦手な発達障害者が常識に縛られているとは、皮肉なものです。

 

個人的に印象深かったのは、第2章「お金」の項目。
自分は金銭管理が全く出来ず、財布に今いくら入っているのかすら全く把握してません。今はPayPayがあるからまだ良いですが、かつてはコンビニで500円の弁当代が払えず、クレジットカードで決済することもしばしば。

その割に一人暮らしをしつつもそこそこ貯金が出来ていたのですが、なぜお金が溜まっていたのか?本書にものすごく腑に落ちる解説がありました。
残念なことに(?)「頑張って節約したから」ではなかったです。

偶然環境が整っていたから、と言わざるを得ません。
裏を返すと、例えばあなたが毎月のクレカの支払いに四苦八苦していたとして、それはあなたのせい、あなたが特別ダメだから、とは言い切れません。環境次第によっては全然変わる可能性があります。

 

第6章「食事」の項目も興味深いです。
現在は実家ぐらしの自分にはあまり関係ないのですが、飲食店も経営していた著者に言わせると、どうやら料理の面倒くさい部分の多くがやはり「当然やらないといけない」という思い込みによるもののようです。

適量の材料を調達し、苦痛にならない程度に調理過程を簡略化し、飽きがこないように味付けをアレンジする。これはかなりロジカルに出来ることのようです。これなら再び一人暮らしをするときが来ても、かつてのようにスーパーのお惣菜とコンビニの弁当とカップ麺のローテーションという事態は避けられるのではないかと思います。

本書は日常生活をトラブルなく、スムーズに送るためのライフハックをユーモアを交えて紹介する本でしたが、同じ著者によるお仕事版のハウツー本「発達障害の僕が『食える人』に変わった すごい仕事術」と合わせて読むことで、多少なりとも上手く社会に適応していけるのではないでしょうか。